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魔女の輪舞曲 第四楽章

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どーもみーさまです。
最近フレ限定公開していた小説を清書しています。

話が終わりそうで終わらない、第4話になります笑。

*蒼天~漆黒編までのネタバレを含みます。ご注意ください。


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クロードが第1世界に転移させられてからというもの、私はグリダニアの資料室に噛り付いていた。

カヌ・エ・センナの言う、第1世界に飛ぶ方法。

その手がかりが掴めるかもしれない。

私は必死だった。

クロードが、あの男が、今も待っているはず。

1秒も時間を無駄には出来ない。


”先代”の魔女、時空魔法の達人アイン。

彼女は几帳面な性格だったらしく、その資料はどっさりと遺されていた。

だがあいにく、私は黒魔法しか知らない。時空魔法は触りだけだ。

”魔女”のプライドにかけて、ひたすら膨大な資料を読み解いていく。

まず、時空魔法の体系を理解するのに三日をかけた。

そこから、彼女が用いた時空跳躍魔法 ”アナザー・ゲート”の解読に進む。

魔法自体が論文化されているが、100ページを超える大論文である。

あらましには、その極めて複雑な魔法陣の概要に加え、膨大な魔力量を要求されることが記されていた。

もし誤った理解でこの魔法を使用すると、
いつどこの時間軸、空間軸、世界に飛ばされるかわからない。

非常にリスキーかつハイレベルな魔法であった。

おそらく一回見ただけで使っていたであろう、ディアボロスの力量はやはり相当なものだ。

とにかく論文を読み進める。

なるほど、魔法陣を使って術者への負担を減らす方式もあるのか……。

と、よくわからない記述が出てきた。

ここはなぜ、一見無駄に見える構築にしているのだろう?

私はうんうん考え込む。

「そこはね、術者への魔力反射を減らすために、魔法陣に逃がしてるの。」
鈴の音を転がしたような声がする。

なるほど。芸術的な程に合理的な設計で、ため息がでそうだ。

え、声!?

「誰?!」
ここは施錠されていて、誰も入れないはずだ。
杖に手を伸ばす。

「あ、やっぱりあたしの声が聞こえるんだ。」
少しのんびりした声のヒューランの女。髪は青く、どちらかといえば可愛らしい顔だち。

ひと目でキャスターとわかる、とんがり帽子に青いコート、そして杖。

「ふーん……。あなた、もしかして……。」
じろじろと不躾に私を眺める。

「魔女?」
この街にいるなら、誰もが知っている事実を改めて言う。
そのことに違和感を覚える。

「……そう呼ばれることもあるわ。」

「ふんふん……。ただの黒魔道士ではないわけね……。」

「あぁ、紹介が遅れたわね。」

「ーーあたしはアイン。時空の魔女と呼ばれていたわ。」

第四楽章
孤高の魔女は、”輪舞曲”を踊る

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ーー時空の魔女?!


「あ、あなたは……。ディアボロスとの戦いで……。」

「そう。あたしは”死んだ”。」

ー表面上はね。

どういうことか、全く理解できない。まさかゾンビ―などには見えないが……。

「あの時、あたしはクロードをかばってディアボロスの炎に焼かれた。」

「その瞬間、時空魔法を使って次元のはざまに逃げ込んだの。」

「一か八かだったけど、奴もあたしが死んだと思ったみたい。」

「魂を焼くという炎も、ハイデリンの加護が守ってくれた。結果、あたしという存在を消すまでは至らなかった。」

「そうして、ほとぼりが醒めたころに、原初世界に戻ってきたの。」

「だけど、あたしの声は……。」

「誰の耳にも届かなかった……。」

「もちろん、あの男にもね。」


「ハイデリンの加護も、完璧ではなかった。あたしは不完全に魂を焼かれて、”存在が薄くなってしまった”のよ。」

「死ぬに死ねない……、誰もあたしを認識してくれない……。」

「そんな死人のような存在が、あたしだったの。」


「でも私はあなたを……。」

この目で、見ている。

「たまたま、あたしの研究室だった、この部屋に足を運んでみたらね。」

「それは必死に研究資料を読んでいる子がいるじゃない。」

「よくよく見れば、あたしと魂の色が近いみたいだし?」

「もしかしたら…。」

「なーんて、思っちゃった。」

ーそしたら、ビンゴ♪

言われてみれば確かに、姿が薄いような気がするが……。
私には、この人がはっきりと認識できる。

でもこれは、千載一遇の……。

「アイン、お願い……!力を貸して……!」

私は藁にもすがる思いで、頭を下げるのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

なるほど、だいたい話はわかったわ。

でも本題に入る前に、まずあなたについて教えてちょうだい。

こう見えてせっかちなのは嫌いなの。

で、名前はそう、マイっていうのね。

ふーん……。なるほど、なるほど。
知ってるわ、ひんがしでいう”舞”のことよね。

それで、その名に恥じぬ舞踏の技により、

魔力を精密操作し、極限まで圧縮できる……と。

へえ、面白い詠唱法ね。あなた自身を研究したくなっちゃった。

……あ、ごめんごめん。本題に入ろうか。

それであなた、あの悪魔と一晩渡り合うなんて、ちっこいのにやるじゃない。

うん。……それで、戦いの末、あいつも飛ばされてしまったというわけね。


でもね、大丈夫。魂を焼かれていないのなら、まだ望みはあるわ。

あいつはそう簡単に死ぬような魂[タマ]じゃないし…。

きっとまだ、大丈夫よ。

昔のあたしなら、サクッと唱えて、すぐ帰ってこれたんだけどね。

この姿じゃそれも無理。

何とかして、あなたに時空魔法を唱えてもらう必要があるの。

でも、聡明なあなたにはお察しの通り、

黒魔道士のあなたにそう簡単に扱える魔法じゃない。

そもそも莫大な魔力量が必要なの。高度な魔法陣を構築して維持しつつ、魔力を調達する必要がある。


そこでね、あたしに考えがあるわ。

あたしには、時空魔法理論の深い理解がある。

あなたには、舞踏による精緻な魔力操作がある。

私があなたと魔法陣を仲介して、あなたの魔力操作を支援する。

あなたは、魔力の操作に集中して。

それで、”理論上”は魔法を唱えられるはず。


……でも、それだけでは、世界の壁は超えられない。

そこから必要なのは、ひたすらに膨大な魔力。クリスタルの量でいうと、一国が傾くほどよ。

それをどうするか。


そこでね、マイ。”舞踏”には特別な意味があるの。

はるか古の時代、それは神々に捧げる”儀式”でもあった。


いい?
いわば私達2人が奏でる、“魔女の輪舞曲”[ロンド]。

このエオルゼアの神々にも届くように、踊ってほしいの。

そうすればきっと、きっと世界は応えてくれる……!


ーーーーーーーーーーーーー



早朝の十二神大聖堂。

二人で一晩かけ、魔法陣の構築を終えた。

アインは魔女の名違わぬ優秀さで、私は彼女の指示通り手伝うだけで済んだ。

楽器演奏も得意らしく、彼女は自前のハープを持っていた。なかなかの腕前らしい。

「さあ、始めよう。」

透る声が響く。

そして、私たちのほかに誰もいない聖堂に、”魔女”の奏でる音色が響く。

私はその調べに乗り、ゆったりと舞い始める。

小気味よく、徐々に魔力を込めていく。

タン、タン、タタン……。

二人の”魔女”により、魔法陣が淡く発光し始めた。

段々と、曲が盛り上がってゆく。

自然と、テンポが早くなる。うっすら汗をかくが、気にしては居られない。

持てる魔力をどんどんと注ぎ込むと、眩いまでに魔法陣が輝く。

なんだか嬉しくなり、力が入る。

そうして、曲のクライマックス。ここだ、と直感する。

魔法陣の中央を踏みつけ、最後の詠唱を行う。

「アナザー・ゲート」

辺りは、荘厳な雰囲気に包まれる。

「ーーー。」

”魔女の輪舞曲”を捧げられた神々の声が、聞こえたような気がした。

と同時に、魔法陣が黄金色に明滅し、流れ込む魔力量が爆発的に増大する。

「マイ、ここからが本番よ!」

アインの真剣な声。

ーこれはっ……!

ーもしや地脈に接続したのかもしれないっ……!

魔女である私が、押しつぶされそうなほどの魔力の奔流。

力技で何とか、制御しつづける。アインが居なければ、あっさりと魔法陣が暴走しているだろう。

ー彼に会うためなら、なんだって……!!

奥歯が砕けんばかりに食いしばり、踏ん張り続ける。

ーー別の次元に接続するまでもう少し……!

「マイ、耐えて!!!」

アインも苦しそうに私のサポートをしている。

私の杖も過大な魔力負荷に耐えきれず、折れそうだ。

ーもうすこし、頑張って……!

そして……。

嵐のような魔力が、唐突に止んだ。

ーーハイデリンの子らよ。久方ぶりの、見事な舞でした。

ーーー遥か彼方の次元へ送られた彼の者を、この地に呼び戻すのです……。

ーーその力が、大悪魔を再度眠りにつかせるために必要になるでしょう……。

世界が呼応したかのように、何者かの声がする。

私の舞が、神々に届いた……。

と同時に、聖堂の中心に次元の裂け目が出現した。

二人の魔術師による複合魔法で、異次元への扉をつないでしまった。

普通の魔道士であれば、歴史に名を残す程の偉業である。



……が、アインの気配がしないことに気づく。



ーマイ、良く、、やったね。

かすかな声に振り向くと、先程よりも更に”薄くなった”アインがいた。

息も絶え絶えといった、普通ではない様子だ。

「あなた、その姿って……。」

ーあは……。ちょっと、、、、力を、使いすぎちゃった……。

ーたぶん、こうなるって……、わかってたんだ。

ーでも、あなたが余りにも必死だから、ほっておけなくて。


その間にも彼女は、ふわふわと光の粒子に変わっていく。



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儀式を始める少し前。

ーねえ、あなたも愛しているんでしょ。あの男を。

ークロードったら、”魔女”たらしね。笑っちゃうわ。

アインは微笑んでいる。私より一回り上のクロードに年が近いはずだが、
笑う姿は少女のようだ。

ー愛?……私はそんな気持ち、知らない。

ー私には、いらないものかもしれない。


ーマイ、それはね。

ーずっと一緒にいたいって気持ち。

ー明日が楽しみって気持ち。

ー自然と、その人を考えてしまう気持ち。

ーふふ。難しい?簡単で、とっても良いものよ。

ーあなたなら、大丈夫。あいつと幸せになって。

ーあたしも、ずっとそばで見てるからね。


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蛍のようにきれいなその光は、私の中に消えていった。

時空魔法の知識が、彼女の豊富な経験が、私に満たされていく。


彼女は、何年放浪していたのだろうか。

どれほど、彼に会うことを希求していたのだろうか。

なぜ、自分よりも私を優先したのだろうか。


溢れる嗚咽が止まらない。



「本当はあなたが、彼に会うべきでしょう……!?」


私はゲートを前に、とうとう崩れ落ちた。

膨大な魔力を費やしたそれは、七色に輝く不可思議な紋様を湛えている。

その美しさが、私には恨めしく思えた。






第四楽章 
孤高の魔女は、”輪舞曲”を踊る 


Comments (6)

Luna Moony

Belias [Meteor]

ぴろちゃんのコメントが迫ってきてるぅ;って焦ってコメントしようと思ったんだけど・・・

何度読んでも・・・じーんっっっって感動するだけで言葉が出てこない(´;ω;`)ウッ
間違いなく今まで一番!
文章にも躍動感があって、登場人物への感情移入もできて!最高なのにねっ!
客観的に形容する言葉が出てこないの;

みーはすごいなぁ。。。って思う。
今すぐ続きを読みたいところだけど、ちゃあんと大人しく待ってるからね♪

Mii Sama

Belias [Meteor]

ぴろちゃんが地味に読んでくれててね笑

るんのコメントにも力をもらってるから
ありがとうね!!

構想を練ってるから
ちょっと待っててね😊

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先が気になって読んでしまった笑
うわーーーー!!!!!ちょー気になるじゃんこれー笑
地味に最新のとこまで追いついちゃったよ笑
次回も楽しみにしてるねー!!!!

Mii Sama

Belias [Meteor]

ぴろーー
コメントありがとう!!

ハマってくれたみたいでとても嬉しい笑笑

頑張って続き書くからお待ちを!!

Viola White

Belias [Meteor]

アインさんの愛の説明にジーンときてしまいました…(涙)
これは、私も自分の好きな気持ちが分からなくなったら何回も読みにきたい!
こんなふうに文章にして表せるのが本当にすごいです!
うまく言えないけれど、みーちゃんの文章や登場人物にはあたたかさを感じます。
多分書き手のみーちゃんが優しいからなんだろうなあ。
次が最終話!?じっくり読ませていただきます✨

Mii Sama

Belias [Meteor]

ヴィオラ、コメントありがとう😆😆
これを良いと言ってくれる人も同じ温かさを持ってると思う〜


実はまだ完結してないので
今書いているところ……笑

少々お待ちを…😂…
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