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セフィロト工場の消滅

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 セフィロト工場で働いています。

 セフィロト工場というのは、その名の通りセフィロトを作る工場のことです。
 これは意外に知られてないことですが、ヒカセンが日々戦っている幻コンテンツのセフィロトは、工場で作られて、毎日出荷されているのです。

 私は毎朝、工場に行くとタイムカードを押して出勤を打刻します。
 見た目は普通の工場で、前はアルテマウェポンを作っていたそうですが、秋ぐらいからセフィロトを作る工場になりました。

 工場はとても大きくて広い建物です。セフィロト自体が大きいから、当たり前ですよね。
 もちろん、一度にセフィロトなんて作ることはできませんから、工場では各部を作る作業場に分かれています。

 セフィロトの前半本体を作る場所、後半本体を作る場所、緑玉を作る場所、光るタケノコを作る場所、青くてシュワシュワする円を作る場所、などで、作るものによってそれぞれ作業場があるのです。

 セフィロト後半本体を作るところは、工場の花形です。
 なんといっても、後半本体ですものね。
 身体も大きいし、むきむきだし、上腕二頭筋は時間切れになったヒカセンたちを情け容赦なく、埃でも払うみたいにしてステージから強制退場させられるぐらい、逞しいです。

 そんなセフィロト後半本体ですが。もととなるパーツは小さいです。
 工場の倉庫にいっぱいおいてある、黒いにんにく、これがセフィロトになります。
 黒いにんにくをコンベアの上にのせると、「ゾウチョウせし、北方人ドモメー」と、可愛らしく鳴いています。

 コンベアに載せられ、運ばれながら、小さくて可愛い黒にんにくは、工程を経るごとにだんだんと私たちの知っているセフィロトになっていきます。
 私にはよくわからない、なんだか不思議な機械(ロウェナ商会製)でプレスされたり、引っ張られたり、つんつんされたりしながら、黒にんにくはどんどんセフィロトになります。

 工程の最後辺りでは、「増長せし北方人どもめ……」と渋い声になっています。
 工場の人が、品質検査をするためにセフィロトの上腕二頭筋をパシパシ、と叩くと、セフィロトが「我が枷を解いたこと、後悔させてくれよう」と答える声が、今日も工場で何重にもこだまします。

 たくさん作られたセフィロトたちが、箱に詰められて出荷されていくのを見るのは壮観です。
 ヒカセンたちとの戦いに備えて、セフィロトもどことなく嬉しそうに見えるのは、気のせいだと思うのですが、こんな立派なセフィロトを私たちの工場で作ってるんだ、と思えば誇らしい気持ちが湧いてきます。

 セフィロト本体パーツ部署は花形で、工場の中でも選ばれた人しかできない制作になります。
 私はまだ下っ端で、そんなキラキラしたセクションに行けるほどのスキルはありません。


 私の受け持ちは、ヒカセンのデバフ欄に張られる緑とオレンジのシールを作る場所です。

 これは他のパートに比べて気楽な仕事で、緑とオレンジのシールの「もと」となる大きな台紙を、ちょきちょきとはさみで切って、形をそろえて数を同じにすれば完成です。
 手先の器用な人なら、午前中にその日の分をすべて作ることもできるかもしれません。
 私は不器用なので、形がくずれないようにやるから時間がかかります。

 できあがった緑とオレンジのシールを何枚も重ねて、決まった箱に入れれば別の場所に運ばれていく決まりです。

 シールを箱につめて、運ばれていく前に少しだけ眺めます。
 そうすると、(これがヒカセンのデバフ欄に貼られて、それでヒカセンたちは慌てながらマクロの通りに動いたり動かなかったり塔に入り忘れて緑の人たちが即死したりするんだなぁ)、なんて感慨深くなります。


 そうして働いていると、たまに、工場の「とてもえらい人」というのが視察にやってくることがあります。

 いえ、正確に言うと、「人」というかネコです。
 もっと正確に言えばネコには見えないのですけど、どことなくチベットスナギツネみたいな顔をした、本人は「猫である」と言い張るネコさんが、この工場の一番えらい人です。

 私はこの工場でもいちばん下っ端に近いので話したことはないのですが、上司の人たちはあのネコさんのことを「ソーチョー」と呼んでいます。
 シャチョー、でも、コージョーチョー、でもなく、「ソーチョー」と呼ばれている理由は、私みたいな下っ端には、よくわからないことでした。


 そんなある日、その「ソーチョー」が視察に来た際に、工場の作業員は全員、仕事を止めて、「ソーチョー」のお話を伺うことになりました。
 そんなことは聞いてなかったので、びっくりしたのですが、とりあえず言われた通りに、みんなに混じって並びます。

 工場の全員が集まったので、とても多いです。100人ぐらいはいるでしょうか?

 壇上に立った、いえ、乗った「ソーチョー」は、(やっぱり猫にしか見えません。いえ、猫というのも怪しいのですが……)私たち、工場で働く人たちを見渡し、それから、ゲンソーバンがどうだの、ナギ節がどうだの、私にはよくわからない、むずかしいお話をされていました。

 ひとつ、分かったのは、どうも来月あたりからこの工場は「セフィロト工場」から「ソフィア工場」になるらしい、ということだけでした。
 ふーん、と私は思いました。
 ソフィア工場になったら私の受け持ちは何になるんだろう? というのが気になりましたが、きっとソフィア本体を作ったり、娘の顔を作ったりする花形部署には回されないだろうな、とも思いました。


 そんな風に思って、ぼーっとしていたことが、「ソーチョー」に伝わってしまったのでしょうか。
 いつの間にかソーチョーは話をやめ、その猫の顔で、どこを見ているかわからないような目で、私をじっと見ていました。

 気のせいかもしれません。100人以上いる工場の全員の中で、私だけがソーチョーに見つめられてるなんて。

 私はだんだんと落ち着かない気持ちになってきました。
 それと同時に、(あれ?)、と今までになかった不思議な疑問が頭の中に湧いてくるのです。


 私、いつからこの工場で働いているんだっけ……?
 いつから、どうして……セフィロトを作る工場で働き始めたのだっけ……?


 ソーチョーの不思議な目で見つめられている、と感じれば感じるほどに、私は現実感を失うような、そんな気持ちが大きくなっていきます。


 以上、ソーチョーからのお話でした、作業員は全員、持ち場に戻って仕事を再開してください。
 そう、アナウンスがされて私は、はっ、と意識を取り戻しました。
 気づけば壇上に上がっていたソーチョーは既に去られて、この集会も終わりのようです。

 不思議な気持ちのまま持ち場に、緑とオレンジのデバフを作る作業場に戻ろうとしたところ、上司の人が私を呼んでいることに気が付きました。

 なんでしょう? と思いながら行くと、オホン、と声の調子を整えるようにしながらその上司は私を、じろり、と見ました。
 そして、曰く「まじめに仕事を頑張ってくれててありがたい」、「緑とオレンジのデバフ欄シールを作るのは地味だがとても大切なことなので、これからも頑張ってほしい」と、決まり一辺倒のことを言うだけでした。

 わざわざそんなことを言うために呼び止めたのかな? と疑問に思っていると、エヘン! オホン! と、ますます声の調子を整えるようにしながら、本題らしきことを口にしたのでした。どうやら今までのことは前置きだったらしいです。

 そしてその本題、というのは私の、ソフィア工場での受け持ちについての話でした。
 えー、えー、と上司はもったいぶるようにしながら、私のソフィア工場での受け持ちは「天秤」を作るセクションに配置されるだろう、と話してくれました。

「君はまじめにやっているし、天秤のような細かいものを作るのにも向いているかと思ってね」と、上司が言いました。
 私はそれを聞いてびっくりしましたが、同時に心が喜びに震えるのを感じます。
 天秤は極ソフィアの中でも華やかなギミックの一つです。まさかそれに携われるなんて!

 そのセクションは私以外にも大勢の人が配置されるようですが、その一人になれたことがとてもうれしくて、私は上司に、ありがとうございます! とお辞儀エモをしながら感謝を伝えます。
 みなさんの足を引っ張らないように、がんばります! と意気込みを伝えると、

「なに、まじめにやってくれればそれでいいさ。幻ソフィア工場でも、がんばってくれたまえ」と、普段はめったに笑わない上司がにこにこしながら言ってくれます。

 上司と別れて、セフィロトの緑とオレンジのデバフシールを作る作業場に戻りながら、私はうきうきと夢見心地のままです。



 だから、さっき浮かんだ疑問のことはすっかり忘れてしまいました。
 いつから、そして、どうして私がセフィロト工場で働いているのかなんて、このうきうきした心の前にはささいなことのように思えます。

 私はすっかり忘れて、またセフィロトを作る作業に戻りました。
 だから、いつの間にかソーチョーが高い天井のところに座って、私をじっと見つめているのにも気づくことはありませんでした。

 私はセフィロト工場で働いています。
 もちろん、一度にセフィロトなんて作ることはできませんから、工場では各部を作る作業場に分かれてて、私はその内の、「ヒカセンのデバフ欄に貼る緑とオレンジのデバフシールの制作」部署にいます。

 いつまでも、いつまでも、私は工場で働くでしょう。
 ダァト散開、というマクロの声がどこかでかすかに聞こえた気がしました。
 でも、きっと気のせいです。
 セフィロト工場は、今度はソフィア工場になるでしょう。私はそこで天秤を作ります。

 いつまでも、いつまでも。

 おわり。




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幻セフィロトに最近、挑戦してます!
という日記を書こうと思って書き始めて書き終えたら、こうなりました。
どうしてかは、私にもわかりません。今日も一日、緑とオレンジのデバフシール作りがんばったぞよ~ (。・ω・。)

Comments (12)

Arukunga Torokusano

Unicorn [Meteor]

まさか、そんな謎のパートに出ていたなんて!
おのれ、ア◯グの亡霊め!?
いや、まさか、これは名高いブラック企業の、◯ド・◯ーロ◯ド社なのか!?
うっかり出荷などされないようにお祈りしております。
デモハコヅメサレタモーサン,ジョカサンハミテミタイ?

Mo- Karimacca

Unicorn [Meteor]

あるさん~(*´ω`*)
セフィロト工場は日給としてギサールの野菜を2個もくれる、高待遇のホワイトな職場です~(*´ω`*)
マクロ完備! 外周に行き過ぎると落っこちちゃう変な空間にある工場ですけど、倒れたら誰かが蘇生してくれるので福利厚生もばっちりです~(*´ω`*)
みんなのデバフ欄に貼られるシールは、実は私が作ってたのですよ~! やりがいのあるお仕事です~w

Joker Zodiac

Unicorn [Meteor]

もーさんこんばんはです^^

妙にリアル。。w セフィロト工場すごい楽しそうな職場ですにゃー^^
やはり元となる素材は黒ニンニク・・単に見た目じゃなく原材料だったとは。
というかセフィロト挑戦してる日記が何故こうなったのか。。。?( ºωº ) でも好き(*´ω`*)

妙にリアルなのに幻想的でもあり、実際にあるかのように見えてくる感じというか、
のんびりしつつ何となくほんわかする感じとかも凄く良き^^

こういう文を書けるとかやはり天才か・・着眼点というか独創性というか。。(嫉妬
もーさんのそういう計り知れない部分とかも魅力の一つだと思われ^^

楽しい日記も幻ご一緒もその他諸々もまるっとありがとうです(*´ω`*)
そして幻ソフィアもご一緒…(ちらちら    これからもよろしくなのですよー^^

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モカにゃん♪素敵な日記、楽しく拝読いたしました♪
モカにゃんが真面目にお仕事してる姿が目に浮かんで、ほっこりしました。
セフィロトもソフィアもわかりませんが、ダンボールを組み立てたり開けたりだったら、私にも出来るかも?
いつかバイトを紹介してくださいね♪

Vein Gardner

Unicorn [Meteor]

僕が勤務する頃には娘の顔作成部門所属兼セフィロト工場長でしょうか
がっぽがっぽMo-kaってFCハウスもといナマズオ御殿を完成させてください
配属になった際はシール作りから頑張ってやりますので宜しくご指導お願いしますね!

極みの天秤がノーマルとは逆に組み立てられているようです、
幻ではどういう設計図になっているか楽しみですね(笑

Nagomi Coco

Unicorn [Meteor]

もーさん!現実に帰ってきてー!
きっと洗脳されてるんですよ!

最近の半導体不足の煽りで生産ペースは問題ないですか?

Hisui Kingfisher

Unicorn [Meteor]

ふむふむ〜。いつも床ペロワイパー出荷されている舞台裏にはそんなカラクリがあったのか…

はっ∑(゚Д゚) 分担作業ということはあの胴体とセフィロトワイパーは別パーツ? いや、黒ニンニクとコンベアーの魔力か…

そして暗躍するロウェナ商会と謎のソーチョー
驚愕の真実に震えておりまする〜

次回作も楽しみです(*´ω`*)

Mo- Karimacca

Unicorn [Meteor]

じょかさん~(灬º 艸º灬)
コメありがとうござます~、デバフ欄のシールがないとヒカセンは塔に入っていいのかだめなのか分からないから、大事なお仕事だと思ってがんばってます~w
すごい褒めていただいてありがとうです!w セフィロト挑戦もがんばりましょうね~!(*´ω`*) 気が早いですけど、ソフィアも~!

Mo- Karimacca

Unicorn [Meteor]

しとにゃん~(≧◡≦)!
大丈夫~、工場は女の人もいっぱい働いてるから安心だよ~(๑ゝω╹๑)w
あ! そういえば、セフィロト用のごはんを作る部署が人手が足りないって言ってました~! 身体が大きいからすごく食べるし、ごはんも大きい鍋で作ってるみたい~! だから人がいっぱい必要なんだって!w 今度聞いてみるね!(*´ω`*)w

Mo- Karimacca

Unicorn [Meteor]

ヴェインさん~(*´╰╯`๓)
ふふふ~w 私はまだ幻セフィロトを攻略しはじめて1ヶ月ぐらいの新人さんだから、まだベテランさんには遠くて……あれ? 攻略……? 攻略ってなんだろう、私は工場で働いて……セフィロトを作って……(混乱)

……ヴェインさんも、工場で一緒に働きたいのですね!! わかりました~、ソーチョーに話しておきます~! ……もう、逃げられない……(ぼそっw)

Mo- Karimacca

Unicorn [Meteor]

にゃごにゃご~(*๓´╰╯`๓)!
そんなことないよ~、セフィロト工場はアットホームで笑顔の絶えない素敵な職場だよ~、日給にギサール野菜2個がもらえる高待遇だし、ボーナスにはマジックプリズムがもらえるから、花火打ち放題だよ~!w
さぁさぁ……にゃごにゃごもこの素敵な職場に笑顔でダイブしてくるのです……w 「PT募集」という名前の申請フォームから登録すれば、すぐに働けるのです……w

Mo- Karimacca

Unicorn [Meteor]

ひすいさん~!(❁´ω`❁)
コメありがとです~! セフィロト挑戦日記書こうと思って書いたら何故かこうなったですw
セフィロトいつもありがとうございます~!(*´ω`*) そうです、いつも戦っているあのセフィロトはこうして出荷されていくのですね~w
謎のソーチョーがどこを見ているか分からない目で私をじっと見てくるから、私はいつの間にか緑とオレンジのシールを作り始めていたのでした……w あのデバフ欄に貼られているシール、実は手作りだったのです……!!!w
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