しまった……! 中古物件の見学に行ったのに、外観の写真撮ってこなかった!
まあ、住むとなれば大々的かつ徹底的な改装が必要なのは一目瞭然でしたから、ヨシとしましょう。
さて、件の中古物件ですが。いわゆる居抜きって言うんでしょうか? 家具、営業に必要な各種設備に加え、従業員のみなさんまでセットで付属した、便利な物件です。しかもお安くなってる! お買い得ですね~♪
① ここはキッチンでしょうか? 根菜類を輪切りにするのに便利な大型カッター? どんだけデカい大根なんでしょうね?
② ……そ、そうきっと鳥籠ですよ、鳥籠! 前の住人がこの籠でズー……ぢゃなくて、カナリヤとか飼ってたに違いありません……。どんだけデカいカナリヤやねんってなツッコミはしない方向で……。
③ こ、これは……、そう、ベッド! ベッドですよっ! なんかトゲトゲが痛そうな器具が付いているように見えますが、ふわふかの羽毛布団を自動で巻き巻きしてかけたりめくったりしてくれる新型魔導機械です。けっして赤黒いシミとかは付いてない……はず……。
④ ……従業員のみなさんはとてもシャイな方たちで、やんわり撮影拒否。中古とはいえ何しろ大きなお屋敷ですから、内部を隅々までよく知っている従業員のみなさんには残っていただかないと何かと不便かと思われます。隙をうかがってコッソリ撮影! な~んてことをしてご機嫌を損ねるのもちょっとアレなんで、お写真はなし。何しろ仕事熱心で、そんなに頑張らなくてもいいんですよ! みたいな方たちでしたから、ねこさんが住むようになっても、きっとよく働いてくれるに違いありません。
エレゼン族の不動産屋さんがいちいち歯切れが悪いのが気がかりです。
曰く、
『庭に大きな虫がおりまして、夏場になりますと、少々……』少々なんだって言うんでしょうか。
『門前には自然の池が絶妙な配置で並び幻想的なまでに緑豊かですが……』いいじゃないですか。
『何しろ古いお屋敷ですので、あちこちでヴォイ……ぃぇ、隙間風が……』ヴォイ?
地下一階、地上二階。部屋数は……しまった、ちょっと数え忘れました。でもねこさんひとりで住むにはどう考えても大きすぎます。お友達とシェアハウスにするのが名案だと思うんですが、どうでしょうね? 特に黒い魔法に精通したお友達なんか、素敵かもしれません。ここで一緒に魔法の研究に励んだら、新たに必殺魔法を習得することだってできるかも!?
邪空の彼方から炎ならざる炎を召喚する必殺魔法、その名もヴォイドファイア!
……ヴォイ?
おしまい