『まだ…やってますか?』
入口の方から声がした。
『いらっしゃいませ!』
手を止め、私はお客様を出迎える。
ここは ひんがしの国、シロガネ。
東州オサード小大陸の東岸からさらに海を渡った東の果てにある島国。
シロガネは冒険者向けに整備された住宅地【ハウジングエリア】だ。
最近は一定の成功をおさめた冒険者達が増え、
定住を求めたり、製作家業【クラフター】に勤しむための拠点として土地を購入しているようだ。
私もここシロガネに土地を買い、居酒屋として営業を始めた。
居酒屋とは軽い食事やお酒を出すお店。
とは言っても、趣味でやっているようなものなので滅多にお客さんは来ない。
今日もちょっと早いが店じまいしようかと片付けていたところだった。
『看板を見かけたもので…勇気を出して入ってみましたが、閉店ですか?』
彼女は申し訳なさそうに問う。
『誰も来ないので閉めようかな?とは思ってましたが、まだ大丈夫ですよ』
私は彼女にカウンター席を勧め、お店の説明を始めた。
『いいお店ですね。東方風のお店は初めてなんです。』
冒険者仲間でもお店をやっている者は少なくないが、やはりエオルゼア形式が多いらしい。
『ありがとうございます。東方風の雰囲気が好きなのと、この方が話題になるかと考えて、この内装にしてみたんですよ。』
私はそう応えながら注文をとる。
『そこの鯰の刺身をお願いします。』
店長を指差しながら彼女が注文する。
『申し訳ございませんがそのナマズオ族、うちの店長なんです…。』
『あ!すみません。丸々としてて美味しそうだったもので…。』
『いいんですよ。初めての方は、皆そう仰います。』
そんなやり取りをした後
本日のオススメ料理と、晩酌一式を差し出した。
『わー!すごい!いただきまーす!』
嬉しそうな表情を見せる彼女を見ながら
今夜はどんな話が聞けるだろうか?
と期待に胸を膨らます。
居酒屋''ひゅーとらん''の夜は、こうして更けていく。
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