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弔風のカトレア第五十八話「断章:小さな子供たちへ」

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世界が終わる。

誰も想像していなかっただろう。こんなこと。

十四人委員会の彼らだって甘く見ていた。

いや、違うか。

きっとどれだけ早く彼らが手を打っていたとしても、遅かれ早かれこの星の結末はこうなるって決まっていたんだ。

燃え盛る大地と降り注ぐ流星。
都市を破壊して回る終末の獣たち。

あぁ・・・・・・。

アーモロートを一望できる背の高い建物の屋上で私は終わる世界を見つめていた。

「捜したぞアリアドネー。こんなところにいたのか」

「テーセウス・・・・・・」

私の隣に彼が来る。

「・・・・・・最後に伝えておきたいことがあったんだ」

「何を?」

「・・・・・・どうか、君だけでも生き延びて。そして忘れないで、僕がここにいたことを」

悲しげな声。

テーセウスは死ぬ覚悟を伝えに来たことがすぐにわかった。

終末を回避しようとする十四人委員会の面々は、この世界に新たな理を創り出すため大規模な創造魔法の行使の準備していた。

このアーモロートだけじゃない。
世界にいる人々の約半数の命を燃やし新たな理を作り出す神、戒律王ゾディアーク降臨の儀式に彼は協力するのだろう。

テーセウスは、慧智の子と呼ばれるほど優秀な人物だ。
十四人委員会から直々に協力要請があったとしても不思議じゃない。
失敗の許されない計画、落ちこぼれの私と違って彼ならゾディアーク降臨のための大きな力になれる。

「・・・・・・約束するわテーセウス。貴方が居たこと。貴方が成したこと。他の誰かが忘れても私は決して忘れない」

「ありがとうアリアドネー。そういって貰えると、僕も迷いなく行けるよ」

そう言い残して彼は、世界を救いに行った。

うん、結果から言おう。

十四人委員会の召喚したゾディアークは見事世界を救って見せた。

けど、星がそれで完全に救われたわけではなかった。
一度傷ついた大地は枯れ、とても復興を目指せるような状況ではなかった。

そして、人々は選択を間違える。
星を維持するために、さらに世界の半数の人々が命をささげた。

笑えるよね?

だって、終末の厄災を止めるために厄災の犠牲以上の生贄を捧げたんだよ?

十四人委員会のメンバーは、これで復興が出来るなんて息巻いているけれど、私からしてみれば大勢巻き込んで殺した殺人集団にしか見えなかった。

私以外にもそういう風に考える人たちはいた。

そして、十四人委員会と喧嘩を始めた。

終末が来る前は争いごともないただ永遠に近い時間を生きる平和な世界だったのに。

人が人の命を奪い争いを始めた。

私はただ傍観していただけだから、どんなやり取りがどういう交渉があったのとかわからない。

知らぬ間にゾディアークに対抗するためまた多くの命が使われハイデリンが生まれた。
そして、終末が去ったはずのこの世界を壊した。

最終的に星を壊したのは人自身だった。

私は、ゾディアークもハイデリンも嫌いだ。
何もできずに、見ていただけの自分も。

だから今、私はこう思うのです。

私たちから分かたれた小さな人々よ。
どうか、間違えてしまった私たちの後を追わないで。
自分たちの道を自分たち足で進んで下さい。
ハイデリンやゾディアークに惑わされず、貴方たちが信じる道を。

そうして作り上げた世界の果てで、気が向いたらでいいので思い出して下さい。

私たちのような愚かな人が居たことを。
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