〜はじめに〜以前の日記で書いた『蒼の男』編の続編の様な後日譚的なお話です。
なので事前に
128回目を読んでおくと、理解度が深まります。
さらに
蒼の男があんな風になった経緯を知っておくと、良いかもしれませんね。
『蒼の男』が逃亡した。そんな噂が我がFC内で囁かれている。
しかし彼は、我々との邂逅とマスター殿の説教により、改心したのではなかったのか。
まだこの世を呪うのだろうか?
居ても立っても居られなくなり、私は彼の家に向かった。
だが、彼はいなかった。
床には幻想薬の空き瓶が転がり、雑な字で書かれたメモが落ちている。
「小さくなっちゃった」ララフェルにでも幻想したのだろうか? 姿を変えてまで逃亡を?
そこまで彼は追い込まれていたのだろうか…。
彼を探そう。
手当たり次第に聞き込みをして回る。しかし有力な情報はない。
それはそうだ。彼は『蒼の男』なのだ。そう簡単にいく筈もない。
「奇妙な肌の色の男? ああ、バブルチョコみてぇなララフェルなら見たぞ」
バブルチョコ…? この際なんでも良い。手掛かりが欲しい。
どこだ? どこでその男を見た!?
「んん〜、西ザナラーンだったかな?」
残念ながら、これ以上の情報は得られなかった。
とりあえずホライズンに向かおう。あそこは人や商人が多いからな。
何か情報が得られるかもしれない。
そんな期待も虚しく、聞き込みは空振りに終わった。
仕方がない。自分の足で探すしかない。
骨の折れる作業になるな。
…西ザナラーン。この広大な荒野で、一人の小さなララフェルを探す…
心が折れそうだ。いろいろ折れまくりだ。
取り敢えず、ホライズンから出よ・・・
んん??いた。ホライズン付近で、F.A.T.E.に励んでいるではないか!
しかし、こちらとしては好都合。刺激を与えない様、そっと近づく。
そこのララフェル! 話がある。こっちに来い!!どうやら私を警戒している様だ。なぜだ?
植物の後ろに隠れたり、草むらに紛れようとしている。
しかし、こちらは既にロックオン完了だ。もう逃げる術はないぞ。
機工士を舐めるなよ?
死んだふりをしても無駄だ。
やがて観念したのか、彼は立ち上がる。
貴様は…『蒼の男』なのか?
その男はフードを脱ぎ始める。するとそこには…
バブルチョコ!確かに姿は変わっているが、どこか面影がある。
あの髪。あの服。あの肌。
そしてあの杖。
間違いない!『蒼の男』だ。
話があるんだ。聞いてくれないか?
歌って誤魔化すな!
着信ないから!
まだ彼は、警戒を解こうとしない。
しかし私は知っている。彼の習性とも言うべき弱点を。
彼は
ハニートラップに弱いのだ。
ほぼ100%で引っかかるのだ!
私はあまり得意ではないのだが、そんな事は言ってられない。
千載一遇? 一期一会? とにかく絶好の機会なのだ。
今度こそ、彼にそっと近づき、優しくハグをする。
そして耳元で囁く。
今、私がその気になれば、
貴様の全身の骨を砕く事など造作もない♡・・・
彼は素直になった。
どうやら私のハニートラップが成功したらしい。
ふふ、可愛いところもあるじゃないか。
とはいえ、ここは
対等に話がしたい。
ざっくばらんに話そうじゃないか!
時々、私達の近くを通り過ぎる商人が、怪訝そうな目で見てくるが、
これは虐待などではない。大人同士の、対等な対話なのだ!
この対話で分かった事は、彼の余りある呪いのエネルギーが
密閉型の寝台、棺桶の所為で行き場がなくなり、自身に浴びてしまった。
そして今の姿に…。
要するに自爆、自業自得というヤツだ。
しかし、その事で呪いの恐ろしさを身に持って理解したと。
反省と自身の呪い解除、そして償いも兼ねて、全国を旅したいというのだ。
既に彼にはターゲット処理を施している。
他のFCメンバーも、彼の動向には目を光らせている。
無闇な事は出来ないだろう。
しかし、その小さな体で世界中を回るのは大変だろう?
彼は答える。
「いいえ。確かに体は小さくなったけど、視点が変われば見える物も変わる。
今までは上から見下ろすばかりだったけど、下から見上げる事でしか、
見えない事もある。そんな景色に出会えると思うと、ワクワクするんです!」なるほどね。
スカートで来るんじゃなかった。その後、私は彼に
強めのハグをしてお別れ。
彼が
何処へ向かって旅立ったのか、私は知らない。
〜Fin〜