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【賊竜廃城 スチールヴィジル】(終)

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 スチールヴィジルは、ほぼ完全に崩壊している。
 この場は、ドラゴン族の拠点か、集会場になっていたのだろう。天井に残る部分はない。
 そして、丸盆の中心――そこに、男は立っていた。
 空にもドラゴンの姿はない。
 男は一人、こちらに背を向けて座っている。
 ルガディンだろうか――ローブで体のラインは隠れていたが、まるで正方形の体格は、他の種族にいるものではない。
 彼は両腕を広げ、言った。
「正直よゥ――シヴァの伝説には、胸が震えるものがあるンだ。
 素敵じゃねえか。言っちまえば虫けらが俺たちに恋するみてーなもンだぜ。しかもその恋とおっちまう。ロマンティ~ック! おかげで竜詩戦争が始まって終わったわけだぜ万々歳! すげえぜ人の愛!」
 男は首を180度曲げて、言葉を続ける。
「ま、虫けら側になっちゃあ、素直に尊敬もできなくなっちまったがね」
 男はルガディンではなかった。顔立ちは、一般的イシュガルド人――エレゼンのそれだ。
「英雄さンよぉ……きっと来てくれると思ってたぜ。勝手な復讐だが……お付き合いいただこうじゃねえのッ!」
 ローブが膨れ上がる。
 押し込められていた蛇のような身が伸び上がり、翼を広げる。
 赤黒い鱗と人面を持つ、蛇だ。
 仮にも人の形の口から漏れたとは思えない声が、4人の視界までもを揺らす。
「がッ……こ、のっ!」
 エマネランが、勢いよく駆け出す。
 闘争の選択<ファイト・オア・フライト>――そして、身の回転で威力を増した、速攻の一刀<ファストブレード>。
 スパイクで石畳を噛み、荒々しい斬り返しの、野蛮の二刀<サベッジブレード>。
 都合三度の刃は、鱗を数度削るのみだ。
 決してエマネランが未熟なわけではない――蛇竜の男が上手に過ぎる。
 男は長い身を丸め、盾のようにして剣を受けたのだ。
 押し切ろうとするエマネランの眼前に、男の首が下りてくる。
「ひはっ!」
 瞬間、エマネランの姿勢が崩れる。
 槍のように尖った尾先が、その背を突いたためだ。
 がは、と彼は呼気を吐き出し、しかし踏みとどまった。
「おっ、らああああ!!!」
 ――戦神の三刀<レイジ・オブ・ハルオーネ>。乱舞の剣が、ヒトの形を残したままの顔面を切り刻む。
「ぐばっ!」
 生白い顔面が、一気に血に染まる。
 同時にエマネランは、右手に痺れを覚えている――骨をも断つ力を込めた。首を落とすつもりの剣技だったのだ。
 男の顔面は、べろりとめくれ、その下にある鱗を覗かせていた。
「ひ、ひひひ! や、や、やるじゃねえの! っとぉ!」
 笑う男の頬が裂ける。
 彼女の矢がそこを裂いたのだ。
 よじれた身を、ほぼ同時に放たれた矢が貫く。
 毒の牙<ウィンドバイト>、そして風の牙<ウィンドバイト>。
 毒がその身へと巡り、風をまとったまま突き立つ矢が周囲の肉を削る。
「くっ、ひっ、ひィ! こええなあ! 流石だなあ!」
 蛇竜はうねり、伸び上がって翼を広げ――
「ひゃァッ!」
 ――長い長い尾が、縦横無尽に振るわれる。
「!」
 駆け寄ったエマネランだけではない。
 ある程度離れていた彼女と双子魔道士にも――否、三人にこそ、尾は振るわれる。
 彼女はとっさに、一歩前に歩み出た。
 弓を持ったまま、腕を顔の前に。ララフェルの二人を護る構えだ。
「…………!」
 びしり、ばしりと打たれて、白いロングコートが裂ける。
「ケアルラっ、……メディカラっ……!」
「く、クソッ……サンダガッ!」
 背後の双子は、彼女の影に隠れながらも、必死で魔法を詠唱する。
 コートの切れ端が飛ぶ。帽子が飛び、弓の装飾がはがれていく。
 顔を護る腕をあざ笑うかのように、蛇身が勢いをつけて腹筋にめり込んだ。
「…………!」
 さしもの巨身も、一歩よろけた。
「――ッひゃァ!」
「うおっおおおッ!?」
 そこに、更なる追い討ち――人間砲弾が、尾の勢いで飛んでくる。
「…………!」
 彼女は腕を開き、砲弾を抱きとめる。
 鎧を着込んだ、大の男だ。
 よろけた身は勢いで飛び、後ろへと転がり、城砦内に降り積もった雪へと突っ込む。
「グッ、く、そッ! すまねえ!」
「っ…………」
 エマネランは、額から血を流しながらも立ち上がる。
「撤退っ! てったーいっ!」
 双子のララフェルが、鞭に追われながらも駆け抜ける。
 元々が廃墟だ――竜の鱗という、鉄にも等しい硬度を持った鞭が、石壁を砕き、割り、止まらない。
 足場としていた崖が崩れ、雲海へと落ちていく。
「行けっ!」
 その鞭の軌道に、エマネランは割り入った。
 殿だ。
 目線をあわせる暇もない――彼女は跳んで後退し、矢を射かけつつ下がっていく。
 盾の下部がひしゃげる。上部が吹き飛び、危うく頭を刈られそうになる。
「シャァッ!」
 人面の蛇竜はのたうち、しかし巧妙にその尾先を尖らせ――
「んな二度も三度も! 食らうかぁ!!!」
 ――回避と同時の切り上げの一刀で、先端を断たれる。
「見たか! このままざく切りにしてやる、よッ!」
 のたうち回る身に、両手持ちのもう一断ち。
 一気にエマネランの身長ほどの体長を失い、人面は口端が裂けるほどに叫んだ。
「ッがあァアアアアア! アアア! アアアアアアアアアアアアア!!!」
 その声は高音となり、超音波となる。
 頭蓋骨が割れるように痛む。骨が共鳴しているかのようだ。音とは空気の振動なのだと思い知らされるかのような音圧。
「ぐ、てめ、またっ……!?」
 人面は叫びながらのたうち、そして跳ねるように、エマネランに突っ込んだ。
「しまっ――」
 顔面が、エマネランの胸部に直撃し、盾と胸鎧と肋骨を砕く。
「がッ、」
 そこで終わりではない――長い蛇身は、エマネランを浮かせ、押し込み、
「!」
 スチールヴィジル前。門扉を抜けたその先へと、突き抜けた。
「っ……はっ……ごっ……!」
「え、エマネラン様っ!?」
 撤退する三人の頭上を、長い蛇身が通過していく。
 エマネランは、勢いのまま跳び、バウンドし、廃墟に当たって、力なく落下した。
 壊れた人形のようだ。
「ち、治療しないとっ……」
 ポロムが駆け寄ろうとして、しかし、門前に蛇竜がとぐろを巻く。
「…………」
 彼女は、手でポロムを制した。
 そして、懐から、一枚の板を――否。仮面を取り出す。
 額から鼻先までをおおう仮面だ。
 それを着用し、ボロボロになったロングコートを脱ぎ捨てる。
 その下から現れたのは、鍛え上げられた身体――ほとんど半裸の、まるで密林部族のような服装であった。
「…………クァ!」
 彼女は駆ける。弓を引き矢を放ちながら、だ。
 飛来する猛者の撃を、蛇竜は払い、あるいは身で受け止め、尾を振るい反撃する。
 だが、彼女には当たらない。
「…………フゥッ!!」
 リペリング――そして、その頂点に至った瞬間の、浄化の光<エンピリアルアロー>。
「きさま!きさま!きさま!きさまっ!!!」
 直撃を受けた人の顔面が、とうとう完全に崩壊する。
「キサマ!キサマ!キサマ!キサマッ!!!」
 ィイイイイイイイイ、と、破壊音波が放たれる。
 ク、と彼女は苦鳴を漏らし、しかし気付いた。
 蛇竜を引き付けてきている。顔面はこちらに来ているが、その身が妙な伸び方をしている――だが、気づきは遅かった。
「きゃ、あ、ああああ――っ!!!」
「ポロム――ッ!」
 白魔道師が尾によって天高く持ち上げられる。
 エマネランを治療していた彼女であるが、その足を救われた形だ。
「ヒハハハハハハ! ハハハ! ハハハハハ! 殺! シテ! ヤル!」
 ヒトの面影を残した蛇面が、泣き叫ぶような笑いで歪んだ。
 尾がしなりを開始する。ぶぅん、ぶぅん、と振り回され――そして、その半ばほどから断裂した。
「…………オア?」
 原因は、彼女の指の打ち鳴らしである。
 同時に現れた、毒と風の牙は、細い蛇身に突き立ち、それを食いちぎったのだ。
 ――サイドワインダー。
 蛇竜に対しての技としては、これ以上ない皮肉であった。
「…………」
 ぁああ、と、飛んでくる白魔道師を、彼女は軽く受け止め、降ろす。
 蛇竜は、もはや体の八割ほどを失っている。
 それでも生きているのは、それこそ蛇の生命力によるものか。
「…………。」
 彼女は、矢を番える。
 のたうち回りは、もはや弱々しい。http://img2.finalfantasyxiv.com/accimg2/a7/94/a7946ff631ee014bcbdb311a625b13dd67fcb91d.jpg
「…………フゥ、リャッ!」
 一矢は、その眉間を貫き――
「…………リヴィア…………」
 ――その言葉、誰かの名前を最後に、蛇身すべてが、雪に落ちた。
 ポロムとパロムが、エマネランの治療に走る。
 ダメージは大きいようだが、なんとか生きているらしい。
 彼女は、竪琴を取り出し、ぽろん、と爪弾く。
「――――」
 鎮魂歌<レクイエム>だ。
 麓側から、ドラゴンを――異端者たちを掃討したのであろう、兵たちが駆けのぼってきていた。


/


「納得いかねえ」
 全身を包帯で覆い、さらに両腕と胴と首にギブスをつけたエマネランが言った。
「行ってねえのは俺だ馬鹿。なんであーんしなきゃなんねえんだよ野郎が野郎に」
「ちげえよ、いや違わねえけど、そこじゃねえ」
「…………」
 では何か。と、コート姿の彼女は首を傾げた。
「…………オレ、重傷者だよな?」
 彼女は頷く。
 彼女も大小怪我をしているが、エマネランほどではない。
 出ようと思えば、今からでも旅ができる程度の怪我だ。
「……たまには、自分で報告しに来いって、兄貴がな……」
 彼女はそっと目線を反らし、頷き、立ち上がり、手を振った。
「ああっ!? オイオイ、頼むよ、オレの代わりって言ったら相棒くらいしかっ!?」
「…………」
 彼女は無言で竪琴を奏でる。
 アップテンポの曲――プロトン<スウィフトソング>、と呼ばれる詩歌であった。


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【賊竜廃城 スチールヴィジル】(終)


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・竜変のトグゥロ
 ・Boss
 ・ランダムターゲットの攻撃が多いため、後衛もすぐ動けるよう気をつけておくこと。
 ・定期的に全域魔法攻撃(叫び)、全域物理攻撃(連続したドーナツ状・円形範囲などの連続)を繰り返してくる。
 ・ヒラの負担が大きくなるため、DPSは回避を優先した方がいい。
 ・HPが約10%減るたびに尻尾が切れ、範囲攻撃の範囲が縮むが、攻撃の合間合間も短くなるため注意。
 ・HPが50%を切ると、ヘイト一位を吹っ飛ばし外へと向かう。
 ・以後一定時間以内に倒せなければ逃げ出しゲームオーバー扱いになってしまう。

・マメット・ストーカー
 ・姿は見えないが、足跡、足音が一つ増える
 ・雪上でのみ、たまにころんで人型が見える

/


→【雲蒸竜変 スチールヴィジル(Hard)】に続かない


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・書くの忘れてたこと
 ・3体目のボスはとある竜の目を持っており4つ目(額と口の中、喉奥に融合している)
 ・一応色々4.0仕様だけど結局歌ほとんど使わなかった
 ・ストーカー分身させるの忘れてた
・許してほしい事
 ・エマネランボッコボコになった好きな人いたらごめん
 ・“風流の”エマネランでなく“銀風の”エマネランになってるとか書こうと思ったけど予想以上にボッコボコにされて書けなかった
 ・戦闘中装備変更かよアマゾネス
 ・最初は、前編冒頭の描写――例えば、ミコッテ族の少女だ、とかに変えればそれっぽくなるようにしたかったけど、途中から忘れてた
・最後に
 ・楽しんでいただければ幸いです
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