アリエルはいつも小さい。
みんなと並んでも背は低く、せいぜいララフェルの中では少しだけ高い程度。
身長の約3割はうさ耳だけど、それで身長を水増ししても120cmくらい。
こんな感じにたまにグゥーブーの力を借りてど~んと最大級に高くなってることはあるけど。
「大人になりたいな・・・」
ちょうど本屋さんを訪れた際、つい口に出してしまった言葉。
「その悩み、もう無用だケロ」
そんな悩みを抱えるわたしにカエルが話しかけてきた。
とりあえずこのカエルには身長は負けていない。
このカエルは「魔闘屋」と言う魔道書専門のお店で働く魔法使いのカエル。
店長はマトーヤらしい。
カエルは心の世界に意識を飛ばし、その中でも現実と変わりなく1日中ずっと大人になれる魔法をかけてくれると言うお話を持ち出してきた。
「だけどオマエさんにひとつだけ約束事があるケロ」
心の世界には必ず闇の部分があり、闇の部分は悪い魔法使いによって支配されている場所なので、その約束を破ってしまうと闇が動いて悪い魔法使いに見つかってしまう。
太陽が昇ってからひとつめのアーチをくぐったら、帰りは日が落ち切る前に別のアーチをくぐって、悪い魔法使いに見つからないように、朝に目が覚めた場所に戻らないといけない。
同じアーチをくぐったり、それらを守らないと悪い魔法使いに見つかり、魔法は呪いに変えられてしまう。
元の世界に帰れなくなってしまう呪いなのだ。
「でも大丈夫だケロ。他の方法でもカエル方法はあるケロ」
カエルは心にとても大きな橋を描けば、その橋を渡って帰れるとも教えてくれた。
わたしが忘れないように下調べしてくれるとの事で、今までで見た橋の中で一番大きな橋はクルザスのグリフィン大橋だとも伝えておいた。
・・・
そのままお家に帰り、ソファで寝て朝起きたら・・・なんと景色が変わっていた。
いつもより目線が高い。
そう、大人になっていた!
身長も伸びて、絶望視されていた胸も大きくなってる!
大人のドレスだって着こなせるぞ♪
お庭のお手入れも、高い位置からの放水☆
これが大人の世界・・・!
しかしこのテーブルを守るのはやはりわたししかいない。
だけど、テーブルが少し狭い。
大人になって体が大きくなると、それはそれで不便なこともあるんだね。
最初のアーチはいつの間にか玄関に出来ていた木製のアーチ。
これをくぐって行こう♪
楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、そしてただただ楽しかった記憶だけが残ってる。
・・・でももう時間、今日は帰らなくちゃ。
また明日になれば大人になっていられるのだから。
だけど帰る家を目の前にとても困った。
日は傾いて、与えられたタイムリミットが近づいているのに、他のアーチをくぐり忘れていた。
と、言うよりそんなものはここ以外にない・・・。
同じアーチをくぐったら元の世界に戻れない。
きっとこのアーチをくぐったら悪い魔法使いに見つかって、わたしにかけられた魔法は呪いに変わってしまうだろう。
でもこのアーチをくぐらないと帰れない。
・・・だからアーチをくぐった。
「ケーロケロケロ、やってしまったケロね!このオマヌケさん!」
突然景色は魔闘屋へと戻され、カエルはわたしを笑った。
「これでもう元の世界には帰れないケロ!」
「で、でも心に大きな橋を描けば帰れるんでしょう?」
「そうケロ。最初に話したのは心の架け橋・・・心の中と現実を結ぶ心の架け橋がないと帰れないケロ」
「だから橋を思い浮かべれば・・・」
「・・・ケロケロケロ、それはワタシの見た橋を越える橋を見た時だけだケロ!その橋がなければオマエさんは心と現実を結ぶ境界線に永遠にたどり着けないケロ。あれェ~?言ってなかったケロォ~?」
「さ、最初から騙すつもりで・・・!」
「そうそう、グリフィン大橋はもう見てきてしまったケロ。随分と大きい橋ケロねェ~♪」
・・・このカエル・・・あの舌を引っ張ってそれでのまま首を絞めてやりたい。
「最初のアーチをくぐったあと、大人になって今日出会った人々は魔法が見せたまやかし。オマエさんを気にかけている友人達の友情や愛情なども、魔法が解けて呪いに変わった今、記憶も水の泡のように消えていくケロ!ケーロケロケロ!」
「そんなのウソよ!わたしのお友達を悪く言うな!」
そこら辺にあった本をガマ口にありったけ押し込んだ。
「ゲホゲホゲホ!!ま、待つケロ!ここでワタシを殺したらもう二度と帰れないケロ。これは本当ケロ!だけどいずれその記憶も何もかも薄れ、ワタシのエーテルの一部になるだけケロ。最後に願いが叶ってよかったケロ?ゲホゲホ」
カエルに教えてしまったこのグリフィン大橋に勝る橋なんてもう思いつかない。
そう、最初からこのカエルが悪い魔法使いだったんだ。
人の弱みにつけこみ、騙してはこうして呪いをかけ、この心の世界に閉じ込めて自分のエーテルの一部にしていたんだ!
どうしよう・・・そもそもエオルゼアにかかってる橋なんてそんなに見て歩いてないよ・・・。
グリダニア、リムサ・ロミンサ、ウルダハ?
それともイシュガルド?
意識が揺らいできた。
食虫植物に捕まえられた羽虫が溶けるように、わたし自身もゆっくりとエーテル化してきたのかも知れない。
もう・・・だめね。
旅をしてきた風景が走馬灯のように流れ始めてきた。
・・・あ!?
「・・・橋なら何でもいいんだよね」
「そうケロ。しつこいケロね」
もしかしたら橋のことはウソなのかも知れない。
でも、今はそれに賭けるしかなかった。
だから・・・今まで見た中で一番大きい、グリフィン大橋をも越える橋を思い浮かべてみた。
「そ、そんな橋・・・卑怯だケロ~!」
わたしの心の中が見えたのか、カエルは驚愕の表情を浮かべた。
そして直後に呪いは跳ね返されたようで、カエルは瞬く間に目の前から消え去った。
・・・いつか見た大きな橋。
決してたどりつけないけど、いつかふもとに辿り着いて渡ってみたかった橋。
今、わたしはそれを渡っている。
その橋の上を歩いている。
もとの世界へ帰るために。
・・・
起きたら体も胸もいつもの大きさに戻っていた。
「やっぱり夢かぁ・・・」
でも夢と変わらないものもある。
やっぱりわたしはこのままの方がいいのかな。
背伸びしたってほとんど変わらないのだから。
・・・いつか見た大きな橋。
決してたどりつけないけど、いつかふもとに辿り着いて渡ってみたかった橋。
あの時、心と現実を結びつけたこの橋にもうたどりつくことはないだろうけど、遠くからは眺めることはできる。
それは今も心に残る、とても大きな橋。
-おしまい-
こんばんは、わたしでぇーす☆
先日夢の中で見た夢。
それを少し物語っぽくしたものです。
なので、実際のゲームの設定とかそんなものとは一切何の関係もありません。
なにぶん夢で見た出来事なので、アーチを迂回すればいいとか、テレポ使えば余裕で間に合うとか知恵や脳みそ使うことまでしていません(汗)
※一度投稿後、一部脱字や読みやすさの編集を行いました。