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第16話 冒険者の道

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FF14二次創作小説です。ミスト・ヴィレッジ在住一般冒険者の日常を短編集形式で。
※Blog【夜群れの宿】でも多重投稿しています。
https://yamurenoyado.blogspot.com/

書き下ろしたばかりで校閲はまだの状態です。
2024/06/30追記※校閲/修正が終わりました。

【ミスト・ヴィレッジ在住一般冒険者の日常】
第16話 冒険者の道



「今日は護衛に付き合ってくれてありがとね」
 場所は東ザナラーン。ツバキはレンの護衛として付き添っていた。
 いつも通りリムサ・ロミンサの国際街広場と西国際街商通りの間の賑やかな空間でツトミとまったり駄弁っていたところ、フリーカンパニーのメンバーであるレンが訪れ、「護衛をお願いしたいんだけど、良い?」と声を掛けてきたのだ。
 リムサ・ロミンサのフェリードックから定期船に揺られて辿り着いた先は西ザナラーンのベスパーベイ。そこから南下して、東に抜けた先に在る東ザナラーンを、今度は北上……キャンプ・ドライボーンに立ち寄って、アラグ陽道を黒衣森・南部森林へ向かう道すがら、途中で道を外れたところが、レンの目的地だった。
 こんな辺鄙な土地で何をするのかと思いきや、レンの装備は以前見た巴術士の装備ではなく、ギャザラー……採掘師の装備だった。
 ここにはアルメンと言う、天然の白色のミョウバンを採掘しに来ていた。消臭剤や皮なめし剤の原料になるそうで、市井にはあまり出回らず、冒険者同士が売買している以外に入手法が無いのだとか。
 何でまたレンがそんな事を始めたのか、定期船で西ザナラーンに向かう道すがら、疑問に思って問いかけたところ、彼女はあっけらかんとこう答えた。
「自分の力で生きていく為よ。冒険者って、そういうものでしょ?」
 それから彼女は黙々とアルメンの採掘に励んでいる。ツバキは共に来ていたツトミと一緒に、ケータが作ってくれた軽食のサンドイッチを口に運びながら、それを眺めている。
「レンちゃん、しっかりしてるよねぇ。早く自立して、一人前の冒険者になりたいのかな」
 ツトミがサンドイッチをパクパク食べながら感嘆した風にそう呟いた。
 ツバキはそれに首肯を返して、同じようにバスケットの中に納まっているサンドイッチを一つ手に取る。
「巴術士を辞めたって聞いてビックリしたけど、レンちゃんは自分で自分の道を探し当てられたって事だよね」サンドイッチを食み、ツバキも感嘆した風に吐息を漏らす。「冒険者としての資質はばっちりって事だよね。ウチのフリーカンパニーには勿体無いぐらいの逸材だ」
「うんうん。そこで上納金システムをね、」「おいおい……」
 ツトミの不穏な発言に、思わずツッコミの声を挟むツバキ。
 燦々と降り注ぐ陽光の下、足を投げ出して休息する二人のミコッテに、レンが呆れた表情で歩み寄って来た。
「……退屈そうね。もっと危険が一杯の場所の方が張り合いが有ったかしら?」
「護衛が退屈そうなのは仕事が順調な証拠だよ」ツバキが苦笑して応じる。「アルメン、たくさん採れたの?」
「えぇ、これだけ有れば暫く生活に困る事は無いと思うわ。ありがと」小さくお辞儀を見せるレン。「アルメン、需要はとても有るのに、市場はほぼ冒険者が独占してるのよね。だからてっきり冒険者じゃないと採集できないような代物だと思ってたけど……」
 見渡す限りの荒野に視線を移し、遠くを見晴るかしても、危険らしい危険は見当たらない。魔物がうろついているのは確かだが、積極的に襲い掛かってくる類いのものは少数で、牧歌的な空気が流れている。
「どういう事なのかしらね。これなら商人が直接採掘しに来ても問題無さそうだけど」
「南東にアマルジャ軍陣屋が有るんだよ。そこから人拐いのアマルジャ族が出てくる事も有るから、平和そうに見えても危険は多いよ。夜になるとゾンビーが湧くって噂も有るしね」
 双剣士ギルドの拠点はリムサ・ロミンサ……ラノシアである為、他の地方にまで出向く事は少ないとは言え、よその事情にも精通している方が何かと都合が良い。
 この辺り、東ザナラーンまで足を運ぶ事は稀だが、そういう事情を知っているからこそ見えてくるものも有る。昼間は比較的安全そうに見えるこの一帯も、夜になればゾンビーが湧き、街道ですらアマルジャ族が人拐いに繰り出してくる事が有る、危険と背中合わせの土地である、とか。
 中堅の冒険者であっても手を焼くアマルジャ族の戦士とひとたび戦闘に陥れば被害も甚大になる事だろうし、助けを求めようにも、頼りにしている銅刃団も最近は不正が見つかったとかで中々連携が取れていない事が多い為、可能な限り腕の立つ冒険者の護衛に頼りたいのが実情だろう。
 レンはツバキの説明に目を瞠り、頬に手を当てて考え込むように小首を傾げた。
「なるほどね……相応の事情は有るって事ね」
「でも今はだいじょーぶ。ツバキちゃんがバシバシ倒してくれるよ! ツトミはサンドイッチ食べて見守る役」
「ツトミちゃんも戦ってくれないと困るかなぁ……」
 ツバキとツトミがけらけら笑っているのを見つめて、レンは不思議なものを見るように目を眇める。
「今更だけど、ツバキもツトミも、腕の立つ冒険者なのよね? 全然そんな風に見えないけど」
「えぇー、やっぱりそう見えちゃうぅ~? ツバキちゃん聞いた~? ツトミ、腕の立つ冒険者だって。ふふん」
「最後まで話聞いてた? 全然そんな風に見えないって言われてるんだけど……」呆れ果てた様子で苦笑するツバキ。「まぁ私としては、全然そんな風に見えないように振る舞ってるつもりだから、そう見えるのならやったね、って感じかな」
「? 腕の立つ冒険者に見られないように振る舞ってるの? 何でそんな事を……?」
 レンの不思議なものを見る眼差しに、ツバキは苦笑を浮かべながら応じる。
「私の所属してる双剣士ギルドってね、市井の裏から掟を守る番人でさ、普段は出来る限り目立たないように立ち振る舞うように心掛けてるのさ。いざって時に顔が割れてたら、仕事に支障を来たすからね」
「必殺仕事人! って感じだよね~。実は最近、ツトミもお邪魔しました。掟を破ってる子はいね~か~」
「え、それは知らなかった。ツトミちゃん、正式に後輩になったんだ。とても隠密できるとは思えないけど、確かに腕の立つ冒険者には見えないからアリかも……?」
「失礼だな~。ツトミ、こう見えて腕の立つ双剣士でもあるんだから! ニンニン!」
 二人してやんややんや騒いでいるを眺めていたレンが、思わず噴き出した。
「あははっ、良いわね。腕の立つ冒険者なのに、そんな事は微塵も思わせない雰囲気で。あたし、二人のそういうところ、ちょっと好きかも」
「あや、褒められちゃったよツバキちゃん。やっぱりツトミの腕の立つオーラが隠しきれてないんだね~」
「だから微塵もそれが見えないから笑われてるんだって……話を最後まで聞いて~」
 三人してけらけら笑い合い、暫し休息と相成った。
 暫く休息を挟んだ後、レンは二人の傍に腰を下ろし、足を投げ出して晴れ渡る空を見上げた。
「あたしね、急いで一人前にならなきゃ、きっとフリーカンパニーのみんなの足を引っ張るって思ったの」
 ぽつりと。思うところが有ったのか、レンは二人が清聴してくれているのを確認してから、訥々と吐露し始めた。
「初め、巴術士として活動を始めた時にね、戦闘が絶望的に苦手だって分かって、もう冒険者として活動できないのかな、って泣きそうになった事が有ったの」荒涼な風が吹き渡るアラグ陽道に視線を下ろし、レンは続ける。「そんな時に、ケータの話を聞いたのね。槍術士は諦めたけど、今は調理師として頑張ってる、って。あぁ、そういう選択肢も有るんだって分かったら、途端に視界が開けてさ。あたしも、戦闘以外でも、何か頑張れる事が有るかも知れないって」
 ツバキとツトミは、レンの告白を静かに聞き届けた。彼女が悩んでいた事、それすら知らなかった訳だが、意図せずその解決策を提示できていた事に、驚きもしたが。
 レンはツバキとツトミに視線を移し、照れ臭そうに微笑んだ。
「色んなジョブを試したのよ? 裁縫師とか、木工師とか、園芸師とか。その中で、採掘師が一番あたしに合ってるかなって、今はこうしてアルメンを採掘できる程に成長できたの。あんた達はそんな事無いって言うかも知れないけど、これはこのフリーカンパニーに入れてくれたお陰で見えた道だと、あたしは思ってるから、……ありがとって、言わせてね」
 暫く静かな時間が流れ、レンが気まずそうに身動ぎして、ツバキを睨み据えた。
「な、何か言いなさいよ!」
「え? あ、いや、嬉しさ噛み締めてたよ、こちらこそ教えてくれてありがとう」ツバキは嬉しそうに微笑んだ。「冒険者としての活動の選択肢を、知らない間に見せてあげられてたんだなって思うと、自分のやってきた事が全肯定されたみたいに感じちゃって、ちょっと感極まってたね……」
「うんうん、もっとツトミを褒めても良いよもっともっと」「いやツトミちゃんは言うほど何も……」「何か?」「いえ何も……」
 そうして三人してまた笑い合う。
 冒険者としての道は、何も一つだけじゃない。多くの選択肢の中から、自分に合う道を選んで、そこを突き進むも良し、どこかで寄り道したって、それもまた良しだろう。
 フリーカンパニー【猫の尻尾】が、マスターの意図していないところで、その機能が十全に働いていた事に、ツバキは嬉しくて、今日も晩ご飯が進んじゃうなと、思わずにやけてしまうのだった。
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