――たいせつなものを護れる者になりたかった。
けれど、それは護りたいものより遥か多くのものを殺める道だと知ったのは、いつの頃だっただろうか。
そしてまた、たいせつなものを護るために命を奪う。
迷いはない。それでも、悲しみがあふれることは止められないし、止めるつもりもない。
この悲しみも、苦しさも、私の戦う力になる。
ニーズヘッグさんは、たいせつなものを護ることができなかった。
彼の心は、彼ではない私には分からない。けれど、きっと、悲しくて悲しくて耐えられなかったのだと思う。
死してなお尽きぬ怒りと怨恨に心を狂わせてしまうほどに。
もしかしたら、ニーズヘッグさんが一番許せないのは、ニーズヘッグさん自身なのかもしれない。
――私は。
栄誉や称賛、権力や名声に背を向ける者。
恐れや恨み、怒りや悲しみと共に歩む者。
迫害を恐れず、ただ護るべきもののために、己が身を盾とする者。
そして、護るべきものへの深き愛を以て、己が闇を力とする者。
ニーズヘッグさん。
エスティニアンさんの体を奪い、邪竜の影となってしまったあなたを、これから私は討たねばなりません。
けれど私は、あなたの心に寄り添いたいのです。
私では決して、あなたの魂を些かも救うことはできないことは分かっています。
ですからこの願いもまた、私の主我。結局、救われるのは私のみでしょう。
けれども、これが――私の信念。
あなたの尽きることのない怨恨と憤怒、そして癒えることのない悲しみを。
あなたの傍らで、あなたの痛みをこの身のすべてで受け止めましょう。
〈帯刀露、邪竜の影を前にして〉
――――――
蒼天のイシュガルド~最期の咆哮
初見で適正レベルだからHPの減りが怪しかったですが、MT貫き通してごめんなさい。
どこまでもエゴだけれど、彼の痛みを受け止められる場所に立ちたかったんです。
ニーズヘッグ戦前、こんなことを思っていたらエスティニアンさんが同じ見解だったので嬉しかったです。
エスティニアンさんとニーズヘッグを分けたものは本人が言ってくれてましたが、そこで孤独というキーワードが出たように、ニーズヘッグとフレースヴェルグを分けたのもまた孤独だったと思います。
フレースヴェルグはシヴァを喪ったとはいえ、彼の一部として彼女は生きていて。
ニーズヘッグにはラタトスクしかいなかった。それをヒトによって奪われた時、彼の帰るべき日常もまた喪ってしまったのだと思います。
蒼天は始まりからずっと、雪に埋もれていくような閉塞感と物悲しさがあってとても好きなシナリオでした。(まだ終わってないけど)
モータルとイモータルの関係も好きだし、暗黒騎士のエゴを貫くところも好きで、すごく感情移入して読むことができ、ようやくPCである露とも心が繋がったように感じます。
次からは紅蓮につながる話だと聞くので蒼天編、最後まで楽しみです。
最期の咆哮のあとのムービで「あいつまだいたのか…!」と思ったら闇の戦士でした。
ナイトへの失望ぶりがやばい。データ面は結構好きなのに。