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Tema Lihzeh

Of the Sixth Sense

Ultima [Gaia]

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【RP】エオルゼア異聞:怪談百物語《第弐夜・前編》

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«第壱夜・前編(2016年に行った第一回イベントログ)   第弐夜・中編»

※RP[ロールプレイ]記事です。
※2018年に行ったユーザーイベント、納涼:怪談百物語にて語られた内容のログを元に構成されております。
※参加者各員の語りをまとめた短編集となっているので、どの物語からでもお読み頂けます。


++++++++++

怪談:百物語
《ひんがしの書店の一角。エオルゼア共通語で綴られた短編集に、あなたは興味を持つかも知れない。》


第一話:霧深い森の呼び声 (語り部:ミッドランダー・女性)
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昔聞いた話なんだけどね。
霧が深く、人の声がするのに姿が無いような時。そんなときには”魔”が出るから、その声に従ってはいけないという話。
それを最初に置いて、話を聞いてね。
ある日、その女の子は友達と一緒に集落の外へ出て、果物を集めたり、野うさぎを追いかけたりしていた。
けれど夢中になっていたからか、あるいはふと…気が散ったのか。その友達とはぐれてしまったのよ。
語り部は、ゆったりとした動作で帽子のふちを指で摘んだ。
やがて霧が立ち込めて、景色も分からなくなる。そうすると…
声が、
聞こえてきたの。
それはひそひそ声のような、喋り声のような。
それは悲嘆のような、怒りのような。
そんなないまぜの言葉。いつのまにか、女の子は自分が呼ばれていることに気付いた。
名前を呼ぶ声に、聞き覚えのあるものも聞こえたというわ。
行くべきか。
行かざるべきか。
…どう思う?
霧深い森の中で、知り合いの声…
その声に従うべきかしら? 女の子は迷ったけれど、結局その方向には行かないことにした。
迷いながら歩いていると、見覚えのある道にいきついた。雨が降り出したけれど、霧は晴れていく。
その後は無事に帰ることができたそうよ。
もしも
もしもその声についていっていたら、どうなっていたのか…?
語り部は帽子を目深に被った。その視線が読めなくなる。
それは誰にも分からない。
語り部の口元が、微かに笑みの形に歪んだ。
……ただ。
このあいだ、見たのよね
語り部は声をひそめた。
霧深い森の中で…不安げにきょろきょろあたりを見回す…栗のような、赤のさした茶色髪の女の子。
迷ったのかと思って、連れて行ってあげようと思って声をかけたんだけど、
気付かなかったみたいで、そのまま霧の中へ消えてしまったわ。
あのまま迷っていなければいいけれど…どうかしらね?
語り部は懐をさぐった。
…おっと。失礼
まだ話したいところなのだけど…ちょっとごめんなさいね
すぐ来るから…森のことでも話しながら、ちょっと待っててちょうだい?
語り部は帽子を目深に被ったまま、座る人の間をすりぬける。



……………
……




はー…
…失礼、ちょっと遅くなっちゃったわ。
任務が立て込んじゃってね
帽子? …なんでそんなことを?
語り部はかばんから帽子を取り出した。
外に落ちていたけど。誰かの落し物かと思って。
……まあとりあえず。私が最初って、リンクシェルの通信にのってたから。
あんまり怖くない話になっちゃう…ちょっと不思議な話くらいだけど。
語り部が執筆者の方向を向くと、その左頬に薄くある刺青が蝋燭の光に照らされる…
すー…はぁ。
語り部は息を整え、目を閉じて、また開いた。
…さて。私の話なんだけど。怖いというか、不思議な話ね。
昔、私は黒衣森のある集落に住んでいた。その時の話。
その時の友達と一緒に森に出て、木の実を集めたり、薬草を取ったり…たまに動物を追いかけたりしていたの。
けど夢中になっているうちに、ふと気付くと周りが霧に覆われていて…友達ともはぐれてしまった。
語り部は目を閉じた。
……いつも見慣れた道も、その時のとても濃い霧は覆い隠してしまっていた。友達ともはぐれてしまってね
すると不思議なことに、声がしたのよ。知らない人間の、色々な声で、私の名前を呼んでいた。
個人名
「こっちだよ」
ってね
語り部はもとの調子で語り始めた。
だけど私もそれなりに警戒心はあったから、そういう声に従うことはしなかった。精霊のいたずらかもしれないとも思った。
そんな風にして歩いていると、不思議な声がした。
聞き覚えがあるような…
無いような。
その声はこう語りかけてきたわ。
「迷子なの?」
声の方向を見ると、森のような、けれど違うような、緑の人影が見えたのよ
私はそれで
……それで、肯定してはいけないと思った。二度と帰れないと感じたの。
だから、その声は聞こえないフリをして…気配はずっとついてきたけど、振り返ることもしなかった
そうしていたらいつのまにか霧は晴れて、見覚えのある道にでて…友達とも合流できたわ。
友達にその事を話して、家でも話して…そこで知ったんだけど。
語り部は視線を聴衆に巡らせた。
「森で霧が出て、声が聞こえて。もし聞いたことのある”ような”声が紛れても、それは聞いてはいけない声だ」ってね。
もしあの声について行ってたらどうなったのかは……今ではちょっとわからないわね。
怖いというより、ちょっと不思議な体験の話ね。…まあ、そんなところよ。
……おしまい。
なんか…みんな変なこと言ってたけど、何か会ったのかしら?



第二話 :視線 (語り部:ミッドランダー・男性)
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どうも、天藍商会傘下、地脈の渡し船で船頭をさせて貰っている個人名です。
語り部はお辞儀した。
こんな大勢の前で話すのは緊張しちまいますねえ。
…えーあー、ンンッ。
語り部は咳払いした。
これは俺が黒衣森に革材を仕入れに出向いたときの話です。
その日の買い付けはムーンキーパーの集落からで、森都からはちいとばかり遠い森の奥でした。
商談で遅くなっちまって、泊まっていくようにとは言われたんですが…ムーンキーパーの集落は女所帯ですしねェ。
語り部は苦笑いした。
気が引けた俺は商品をチョコボに乗せて、夕闇に飲まれつつある森を都に向かって急ぎました。
しかし、やっぱり土地勘のない場所ってえのはいけねえや。ましてや鬱蒼とした森の中。
語り部は首を横に振った。
いつのまにか日もとっぷり暮れて暗くなり、自分が地図のどこにいるのかもわからなくなっちまった。
街道を外れちまってるんじゃあねえだろうかってくらい、いつのまにやら道も細くなっててなあ…。
おっかなびっくり暗い獣道を辿るうちに、見覚えのない山小屋が立っているのが見えた。
こりゃあ完全に道に迷ったな、ってんで、どうにか夜が越せないものかと小屋に立ち寄ることにしたんですよ。
語り部は肩をすくめた。
窓に灯はなく、ノックをしても返事はない。どうやら人気も感じない。
ドアを押して見ると、鍵もかかっていませんでした。
小屋を覗けばなんてことのない、狩人が過ごすのだろうって趣の簡素なモンです。
チョコボの手綱を軒先に繋げ、室内に戻り…落ち着いて部屋を見渡したその時。
語り部は真剣な表情になった。
…壁にね、絵が貼られていたのに気がついたんですよ。何枚か。…肖像画です。
それがまた…真っ暗だったせいですかね。
どうも、どの絵も俺の方を睨んでいるように見えて……、…。
語り部は困惑した表情になった。
この世の憎悪を煮詰めたような、今にも怨嗟の声が聞こえてきそうな…とんでもねえ形相の絵が並んでいるんですよ。
背筋が凍るような心地で、この家をすぐに出るべきなんじゃあないかとも思いました。
しかし、辺りは鬱蒼と茂る木々で月明かりも届かない。一泊するつもりなんて無かったですから、ランタンの油も無駄にゃあできない。
語り部は溜息をついた。
迷いはしましたが、壁の絵に背を向けて眠ることにしました。不安にはなりやしたけどね。疲れていたんです。
……翌朝。
小屋に差し込む光で目を覚ました俺は、…情けないながら、声にならねえ叫びを上げちまいましたよ。
語り部は首を横に振った。
昨晩、肖像画が掛けられていると思った場所には、"窓"があるだけだったんです。
語り部は目を閉ざした。
慌てて小屋から飛び出して、丸まって寝てたチョコボを叩き起こして、その場を後にしました。
…あれ以来、黒衣森の奥には立ち寄ってません。あの小屋がどこにあったのかも……。
語り部は首を横に振った。



第三話 :あなたはわたしの… (語り部:ムーンキーパー・男性)
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あー、なんだ、出来のいい話が続いたところで
小休止代わりに、溺れた海豚亭で仕入れた、酔っぱらいのたわごとでも聞いていけ
2人のほろ酔いになった男が、桟橋をブラブラと歩いていた。
すると前方に、黄金色の長い髪を持つ女が1人、海を見つめてぽつりと立っていた。
男たちは女に声をかけた。
「なあ嬢ちゃん、こんな夜中に1人じゃ危ねえぜ」
振り返った女は、この世のものとは思えぬ、そんな言葉がぴったりと合う美貌をしていた。
男たちは息を呑んだが、言葉を続けた。
「家はどこだい?天国だって言われちゃ送っていけねが。キレイな天使さま」
女は首を横に振り、答えた。
「いいえ。私はあなたのお姉ちゃんです」
女は見るからに男たちより年下だった。男たちは夜の港に響く声で笑った。
「お姉ちゃんは無理だなぁ。妹にならしてやってもいいが」
「いいえ。私はあなたのお姉ちゃんです」
女は微笑みながらまったく同じ調子で繰り返す。
そして真っ白な片腕をすうっと持ち上げて、男の一人を指差した。
すると何かがゆらりと、桟橋から生えた。
月明かりを浴びてぬらぬらと光るそれは……イルカだったのだという。
イルカが桟橋を突き破って、いや、通り抜けて、その上に空中に浮き、男たちの目の前に存在していたというんだ。
女に指さされた男は、何が起きたかも分からず、笑った顔のまま動けずにいた。
その男に向け、イルカはノコギリのような歯を剥き出しにし、
キューっと、甲高い声で一声鳴いてみせた。
鳴かれた男は……だらりと項垂れ、呂律の回らない声でこう呟いた。
「はい。私はあなたの弟です」
それを見た女は心底嬉しそうに、美しく笑った。
「ええ。私はあなたのお姉ちゃんですよ」
そしてぐるりと、もう一人の男に向き直った。
とても美しいのに、目の据わった恐ろしい笑顔で。
「あなたも、私の弟ですよね?」
いつの間にか、海の中からはキューキューと、無数のイルカの声が響いていた。
残された男は走った。
一目散に、自分でも何を言っているか分からない悲鳴をあげて走り続けた。
海から離れた場所を目指して。
イルカの鳴き声なんて、絶対に聞こえない場所を……
まあ、それだけの、酔っぱらいが見た幻覚の話だ。
ただ、その後、その女はもちろん……「弟」にされた男を見た者も、居ないんだがな……
以上だ。箸休めにちょうどよかったろ?



第四話 :しのび寄る影 (語り部:ムーンキーパー・女性)
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えっと・・・初めましての人も多いね
語り部は、聞き役席に座る冒険者たちを見渡した。
まずは簡単な自己紹介をさせて貰うね、ボクの名前は個人名
グリダニアの冒険者居住区を拠点にアルデナード小大陸の遺構や歴史の調査活動をしている冒険者だよ、よろしくね
今日は黒衣森で遭遇した不思議な体験についてのお話・・・
語り部は持っていた手帳を開き、付箋が貼られたページを開いて目を通した。
その日、ボクは中央森林に遺跡分布調査へと出掛けていたんだ
晴天に恵まれ、とても気持ちのいい昼下がりだったのを覚えてる
数時間の調査だったけど・・・とくに他の冒険者と会う事もなく予定していた目的を達成し
ボクは荷物をまとめて帰宅の準備に取り掛かっていたんだ
― ササッ ―
その最中、微かに・・だけど 木々の葉擦れとは違う”音”がボクの耳に飛び込んで来た
顔を上げて辺りを見回したけど動くものは見つけられず
(リス・・・でもいるのかな?)
首を傾げつつ再び荷物に手を伸ばしたんだ、その瞬間
― ガササッ ―
(また・・・!)
今度は後方からハッキリと、そして・・さっきよりもずっと近い場所から草を踏みしめた音がした
ボクは咄嗟に荷物をつかみ、音の発生源から出来る限り距離を取りつつ振り返ったんだけど・・・
やっぱり周りにはヒトも動物も魔物も見当たらない
少し怖くなって来て、急いでその場を立ち去ろうとしたんだ
             ― さく ―
でも・・・身体の向きを直す事も出来ずにボクの視線は虚空に釘付けになった
   ― さクっ ―
(・・・いる)
         ― サクッ ―
            「 ……… 」
・・・ソレは一歩また一歩と 徐々に距離を縮めて来る、ボクまで1ヤルム(約1メートル)程
・・・たぶん
近付くにつれ何も無い虚空から、ボソボソと呟きの様なくぐもった音も漏れ聞こえる
(ダメだ・・・、逃げなきゃ)
妖異・・・とはたぶん違うけれど、きっとこれは『触れてはいけない存在』
いつの間にか胸に強く抱きしめていた荷物を握る掌にも汗がじっとりと滲んでいた
じりっ・・・と詰められた距離を取る為に足を後ろに引いた瞬間
       パキッ
踏みつけた小枝の折れるが響き、同時に目の前の気配が大きく膨れ上がり
・・・・
ハッキリ覚えているのはここまで
ボクはその後、ベントブランチ牧場の衛士さんに木の葉っぱまみれで道端に座り込んでいた所を保護されたみたい
逃げる最中に出来た擦り傷以外は特に異状も無く・・・
鬼哭隊にも体験した事は報告したけれど、その後特に何もなく
語り部は肩をすくめて見せた。
ボクはあの時出会った”何か”が気になって、黒衣森に纏わる文献を色々調べてみたんだけど
・・・・とある本の中でこんな一文を見つけたんだ
『 精霊の怒りを買った者は森に隠され“影”となり、生涯森を彷徨う事となるだろう 』
黒衣森が今よりずっとずっと深く広大で 精霊の力も影響力もとても強かった時代の記録
ボクが出会ったのは、その昔 精霊の怒りを買って森に隠されたヒト、だったのかも知れない・・・
もし・・・もし、あの時捕まっていたら・・・?
語り部は手帳を閉じ、ふうっと息を吐いた。
森の中で周りに人が居ないのに足音が近付いて来たら・・・気を付けてね?
ボクのお話はここまで、ご清聴ありがとうございました



»中編(2020.8.5刊行!)につづく


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