目次&登場人物紹介&設定解説ウェルリト暫定政府施設内、尋問室。「ウェルリトからの使いはいつ頃来たのだ?」
Sound
Only「その時はもう、どのくらい経ったか、数えるのもやめていました、、。
前哨基地の偵察員に定期的に街の噂を集めるよう命じていたのですが、
入ってくるニュースはどれもこれも泣きたくなるものばかり、、。
、、、、帝国はどうなってるんだと思えてきましたよ、、。
そんなときでした、あの使者が来たのは、、、。」カステッルム・マリヌム司令部。
「司令、識別信号を確認しました」
「補給本部か!」
「いえ、これは、、第7軍団?!」
「第7だと?!あの軍団は敗退したはずじゃ、、」
「潜水艇のようですが、どうします?」
「と、とにかく、発着場に誘導しろ」
カステッルム・マリヌム、潜水艇発着場。
「お初にお目にかかります」第7軍団の使者は自己紹介した。
「ようこそカステッルム・マリヌムへ。援軍というわけではなさそうだが?」
「ええ、むしろ、当方が援軍を請いに参上したと言うべきでしょう」
「どういうことだ?」
「機密の話になりますゆえ、部屋を用意いただけますか?」
「ああ、もちろん」
カステッルム・マリヌム、会議室。
「援軍を請うとはどういうことだ?知ってるかどうかわからんが、我らは敗残の身だぞ」
「単刀直入に申し上げます。我ら第7軍団の望みは2つ。
1つは、ここカステッルム・マリヌムが所蔵しているアルテマウェポン関連の物資を使用し、当方のウェポンの最終調整に使わせていただきたいのです。
もう1つは、第14軍団所属のガレアン将兵を第7軍団にお迎えしたいのです」
「最初の望みだが、友軍が必要としているなら喜んで提供しよう。ここに置いていても役に立たん」
「ありがとうございます」
「しかし、アルテマウェポン関連の物資がここにあるとよくわかったな」
「当方のウェポン開発にはプラエトリウムから脱出してきた技術者が多数参加しておりましてな。
彼らがここならあると申したのでこうして参上した次第」
「プラエトリウムの技術兵達が、、」
第1大隊長殿の判断が功を奏したんだな、、と思いつつ、マリヌム司令は言った。「聞きたいのは、次の望みについてだ、、ガレアン将兵と言ったが、属州兵は置き去りに、ということか?」
「そういうことになります」
「知っての通り、本国外配置の軍団におけるガレアン将兵の割合はどこも少ない。
我ら第14軍団も例外ではない。
どういう意図でガレアン将兵だけ迎えたいのかは知らんが、戦力としてはとにかく数こそ重要じゃないのか?」
「我らが第7軍団長閣下は、かつて純血主義という論文まで書いたことがあるほどのガレアン第一主義でして。
帝都解放の戦いはガレアンの手で為すべきとお考えなのです」
「帝都解放?まさか、ガレマルドが他国に占領されたとでも?」
「いえ。今、ガレマルドは、第1軍団と第3軍団による内戦の渦中にあるのです」
「内戦だと?!ヴァリス陛下はどうなさったのだ?!」
「、、、言いにくいのですが、、」
「言ってみろ」
「ガイウス・ヴァン・バエサルの手にかかって暗殺されたと、、」
「?!ガイウス閣下は戦死なさったぞ?!死人が皇帝陛下を討てると思うか?!」
「わ、我ら第7軍団が確認したわけではありませんのでそこまでは、、」
「、、陛下が亡くなったとしても、どうして内戦になるんだ?
御嫡子の殿下がいらっしゃるじゃないか」
「ゼノス殿下は行方不明だそうで、、それで、ティトゥス殿下の長子ネルウァ殿下が後継に名乗りを挙げ、第3軍団長ウェルギリア閣下が後ろ盾となりました。
ですが、第1軍団長閣下は納得せず、第1と第3両軍団による内戦と相成った次第、、」
「馬鹿な、、、!」
「もはや話し合いでどうこうなる状況でもないのです。
この内戦を収めるには力が必要、と、ウァレンス閣下はお考えでして。
そこで、アルテマウェポンを凌駕する新型のウェポンを完成させ、それをもって両軍団を圧倒し、内戦終結を図ろうとしているのです」
「ウェポンで両軍団を殲滅しようと?」
「、、両軍団が屈服しなければ、そうなるでしょう。
しかし先程申し上げた通りウァレンス閣下はガレアンを誰よりも重んずるお方。
本国防衛部隊として多くのガレアン将兵で構成される両軍団の皆殺しなぞお望みではありません。
故に、ウェポンの圧倒的力を示し、戦わずして勝つことを志向しておられるのです」
「本国が内戦状態なら、ウェポン開発はどこでしているんだ?」
「属州ウェルリトであります。御存知かもしれませんが、ウェポンは蛮神の力を用いるもの。
それゆえ本国での開発というわけにはいかなかったのですが、それが不幸中の幸いとなりました」
「話はわかった。そのウェポンとやらは、いつこちらに来れる?」
「予定では、20日後となります。その際、ウェポンと共に、ガレアン将兵移送用の潜水艦隊も来ます」
「では、それに間に合うよう、こちらもガレアン将兵を全員カステッルム・マリヌムに集合させる」
「よろしくお願いいたします」
次回に続く、、、。
~あとがき~Click to showClick to hide
ガレアンを集める理由として、ウァレンスの純血主義だけじゃ軍事的には馬鹿馬鹿しいだけだなとの印象がぬぐえなかったので、帝都解放の戦いをガレアンの手でやるという政治的スローガンと、ウェポンの力を見せつけることで無血降伏を迫るという目的を盛り込んでみました。
なお第3軍団が本国防衛部隊の一翼を担うのは