7.0~7.2ストーリーを終えていろいろ考えたいことが出てきたので、書いておきます。
マイナスなことを多分に含みます。ご注意ください。
前提として、FF14は日々楽しく遊ばせていただいており、運営さま、とくにシナリオ班のみなさまにおかれましては、限られた時間の中でコンテンツを提供してくださることに感謝しています。
まず、私の7.Xシリーズにおけるスタンスについて記しておきます。
7.0:問題は多々感じつつも、概ね楽しく遊べました。今後に期待したいです。詳細は別の日記に残してあります。
7.1:プレイヤーの求めているゾラージャの掘り下げと、掘り下げを謳って提供されたストーリーの乖離が激しく、また短いストーリーなのに気になる点が多々ありました。
※個人的にテーシャジャと、テーシャジャの音声をグルージャに聞かせたことは気持ち悪く思っています。音声の内容は再生して聞いてみるまでわからないので、聞きたがったグルージャ本人に一番に聞かせることになった経緯は理解できても、現実に生きる個人の心情としては複雑でした。子どもの物わかりの良さに期待して感情を押し付ける大人はどうなのかと常々思って生きているので、いくら現実とは常識の違うファンタジー世界の話とはいえそれに近い不快感はずっとありました。
7.2:感想を検索すると概ね好意的で、驚きました。私はあまり楽しめませんでした。楽しんでいる方々の中にこういった感想を投げ込むことは勇気がいることでしたが、コンテンツには肯定意見以外もあるべきだと思っているので、思い切って残しておきます。
【初めに】
まず、黄金全体を通して感じていることをお話させてください。
黄金はずっと、「書き手の都合に合わせて書かれているな」と感じるお話やキャラクターが多くて、個人的に悲しく思っています。どういうことか説明します。
たとえば、主人公の敵味方問わず、物語上の事件や事象を起こすキャラクターを登場させたいとき、そのキャラクターの性格や口調だけが先行した、うわべだけのキャラクターが動いているように感じられるのです。生い立ちや育った環境と、その事象を起こすに至った知識や行動が結びつかず、ちぐはぐな印象を受けました。
申し訳ないですが、ウクラマトを例に出します。私はウクラマトというキャラクターの問題点は把握していますが、だからといって特別嫌っているわけではないことを先に断っておきます。
知っての通りウクラマトは、トライヨラという他部族がたくさん住んでいる都市に住んでいて、王都を駆け回って民からも愛されていた平和を重んじる王女という設定なのですが、他の部族が暮らす土地を訪れて初めて知る事柄があまりに多すぎます。王族として教育はされていなかったのか? 王都で見聞きする事柄に興味を持たなかったのか?(興味があれば知ろうとして知識を得ているはず) 一度も他部族のしきたりや習慣に触れることがなかったのか? ウクラマトがあまりに無知なのは、案内役のエレンヴィルを語り手にしたい、解説する役割を与えたいからであり、各部族ごとに対するウクラマトの知識レベルを管理することも大変だったからなのでは……?
ウクラマトがやりたいこと、目標とすること、それに向かって起こした行動に対して、ウクラマトの幼少期が結びつかないのです。あれだけ無知なら、「以前殺されかけた過去があるために、〝王宮〟自体からもあまり出たことがなく、文化については座学のみで、実際に触れるのは初めてである」くらいの設定のほうが納得できます。キャラクターはその世界で生きているので、行動と生い立ちや環境や知識レベルが結びつくはずです。
【7.2新規登場キャラ「カリュクス」について】
新キャラクターの「カリュクス」について感じたことを書かせてください。
前提として、カリュクスは登場したばかりのキャラクターであることは理解しており、キャラクターを語るにはその全容を知ってからにすべきであるということも、理解しています。あくまで現状の気になった点であることを踏まえてお読みくださると幸いです。
カリュクスはスフェーン(本物/生身)曰く、「先を見据えてきたエレクトロープ技術の天才」であり、生きていた時代からは400年経っていて、本人はすでに永久人化しています。
彼の目的は人類の進化としての永久人化で、他の鏡像世界から永久人の維持に必要な「生命力のエーテル」を補充しようとしている、そのために主人公の持つ「鍵」を欲しているというお話でした。
まず、先を見据えてきた天才が縋(すが)る「永久人」は、未来がありません。死者の魂を再生するために、生者の生命力のエーテルが必要な時点で破綻しています。天才とされるカリュクスがこれを理解していないわけがないはず。実際、彼自身「天才には普通の寿命では時間が少なすぎる」というような主旨の発言をしており、少なくとも彼自身が生きるためのエーテルが必要なのだろうとは推察できます。
でも人類の進化を謳って永久人化を推し進めるのは違和感があります。先王スフェーンが証明しているように永久人自体明らかに先がないし、他の鏡像世界の天才……カリュクスのような境遇の人間について考慮する発言もありませんでした。鏡像世界の生命力のエーテルは糧としか見ていないようです。
また、天才である彼はシミュラントと一緒に、先王を見下す発言をしていました。つまり、先王のことを知っていて、その行動については把握している/いたということです。
人類の進化として永久人化をしたいなら、どうしてターミナルをシャットダウンしていた7.0終盤でなんの干渉もなかったのでしょう。それについての言及がないのも謎です。(7.0シナリオの工数の問題だったとしても、伏線は張ったほうが良かったと思います)
また、エターナルクイーンの戦闘データは得られていなかったのでしょうか……? 得られていなかったとしても、先王が何をしたか自体は把握している風でしたから……先王が本気で主人公を止めにかかり、先王が用意した存在を主人公が屠ったことはわかっているはずです。なので、その主人公に武力衝突を吹っ掛け、改めて戦闘データを取ろうとする流れも、釈然としませんでした。
でもこれは、「アゼムの術式を引き出すため」という線がまだ残っています。鍵の解析には、エターナルクイーン戦で主人公が使ったアゼムの術が有用であることがわかり、データが欲しかった……とか。
それにしても、シミュラントをああいう性格にして主人公たちを中途半端に煽り、カリュクス自身も敵対しているのは謎です……
天才として設定されているキャラクターの行動として結びつかない点が多いです。
シミュラントの性格をある程度弄れるなら、先王に寄せて懐柔政策をとるか、シミュラントだけを悪にして自分は善として主人公陣営に近づいたほうが鍵の奪取も術式の開示も簡単なのではないでしょうか。
主人公たちは人がいいですから、「自分はプリザベーションの維持のために別のサーバーで嫌々生かされてきた永久人で、こうなった以上主人公たちに鍵の研究データを共有したい」とか、もっともらしい理由をつけて接触すればよかったのでは。シミュラントについても、永久人機構を維持するためのプログラムが暴走し新しく生み出された存在、とか適当な理由をつけて、悪としての演技させたり。
天才が安易に敵対行動をとってくる理由がわからなくて、どうしたら行動に納得できるかばかり考えています。
たぶん、ゲーム的にこのパッチはIDと討滅戦を入れないといけないから、シナリオの工数的にこういう展開やキャラクターにせざるを得なかったんだろうな……と頭ではわかってるんですが、それがどうしても悲しくて考えてしまいます。ゲームとしての展開のためにキャラクターが犠牲になってしまったような印象です。
まあでも、現状の印象というだけで、ここからひっくり返る可能性もあります。私が黄金のキャラクター造形に対してやや気落ちしているので、余計に考えてしまっているのだと思います。
【シミュラントという呼称について】
個人的な感情面で引っかかったところをすこし書かせてください。
あの時点でのシミュラントという呼称についても、書き手の都合だな……と感じています。スフェーン本人の眼の前で、先王という前例もあるのに、「模造石」という呼び方は悪意がある気がして……それって、「あの偽スフェーンはそういう呼び方をしてもいい存在である」「他に先王のようないい性格の偽スフェーンは出てこない」を前提にしてませんか? そもそも性格が違うだけで、その呼称なら先王だってシミュラントでは? 400年眠っていて起きて事情を把握したばかりのオリジナルの眼の前だし、もうちょっとマイルドな言い方を探してもいい気がします。
これは個々人が言葉から受ける印象の話になってくるので、気にならない方もたくさんいるとは思います……私は、私自身が趣味で小説を書くこともあり、「お話書くにあたってこの時点で呼び分けたいんだろうな~」とつい考えてしまうので、余計に意識しちゃったのかもしれません。
【総合して】
やや悲しいです。お話の中身はさておき、黄金はキャラクターの扱いがずっと悲しい。お話の流れをなぞるために表面的な描写に留まっている印象がどうしても消えません。
・ゾラージャの掘り下げは幼少期や人格形成に至るまでが求められていた。(グルージャが生まれた経緯は大事だけど、あれをゾラージャの掘り下げですどうぞってお出しするのは違うかもです)
・バクージャジャは、急なキャラクターの転換に加えて、やったことの罪に対して罰が見合ってない。(どんなに改心したとしても、ヴァリガルマンダ解放ってとんでもない大罪のはずです)
・主人公の代弁者であるウクラマトがキャラクターとして大きく矛盾を抱えているために、ヘイト管理に失敗している。(無知な理由がちゃんとしてれば、ある程度「知りてえんだ」も許された気がします)
・前述のとおり、天才として設定されているはずのカリュクスの目的と行動がちぐはぐな印象を受ける。(これはあくまでも現時点でです)
細かいところを含めたらもっとありますが、クロニクルクエストではあまりそういう印象を受けないので、今後を長く見据えないといけないメインストーリーでライターさんが苦心されている印象です。
キャラクターは現在起こっている事象や事件に関わってきて、それを主人公が観測してストーリーとなるわけですが、そのキャラクターたちにも生い立ち、置かれている/いた環境、持っている知識や技能、趣味趣向があり、それが現在の事件に関わる理由となってきます。
・ゾラージャはプレイヤーが彼の行動結果を深く理解するために、生い立ちや置かれていた環境の描写が必要だった。
・バクージャジャは生い立ちや置かれていた環境の伏線が必要だったし、起こした行動に対して現在置かれている環境に見合った罰が必要だった。
・ウクラマトは役割に対して、生い立ちや置かれていた環境の見直しが必要だった。
・カリュクスは知識に見合った行動の描写が必要だった。
と感じています。
また、全体を通して、キャラクターそれぞれの趣味趣向の描写が足りていないように感じます。プレイヤーが共感しやすい心情の描写に、趣味趣向の描写はとても効果的です。
たとえば、エメトセルクはよく睡眠を取っていましたが、それは気の遠くなるような時間をかけなければならない使命の中で許された安息の時間であり、時間を飛ばす手段でもあり、生真面目な彼がアシエンとして活動するようになってから身につけたものであるということが想像しやすいです。現実世界の常識を持つプレイヤーが、敵であり途方もない取り組みを行っているキャラクターを理解し、好意的に受け止められたのは、そういった細かな描写の積み重ねであり、それがキャラクターを描写するということでもあると思っています。
でも、大勢で一斉に書く中でそういった描写を挟んでキャラクターを深く描いていくのって難しいですよね。黄金のキャラクターがエリアごとにぶつ切りで表面的なキャラクター描写に感じられたのはたぶん、そういう部分が管理できないからなんだと思います。伏線が少ないのも、工数だけじゃなく、そういう制作体制だからなのでしょう。実際能力のある一人が全部管理すれば芯の通った物語やキャラクターは生まれるでしょうが、その一人の負担は計り知れないですよね……難しいのもわかります。
そう頭ではわかっているんですが、やっぱり悲しくて、こういった文章を書いてしまいました。
でも今、たとえば「このキャラがこういう事件に遭遇したとき、どういう反応をしてどういう対処をする?」と書いてもらったら、全員一致するんだろうか……と気になっています。たくさんいる書き手で、たくさんいるキャラクターを共有するって大変だと思うのですが、どうか頑張ってほしいです。
ここまでお読みくださった方、ありがとうございました。お目汚し申し訳ありませんでした。
「考えすぎてる人もいるんだな~」くらいに受け止めてもらえると助かります。