ある日身内から絶テマの手伝いで固定に誘われました。
"賢明な判断やね"と軽口を返しました。
漆黒に入りDPSチェックが激緩になり絶の取っ掛かりとして優秀な絶テマですが、
バリアヒラの練度がそのままPTの進行度に直結するのは相変わらず。
経験者&熟練者をH2に据えた方がいいのは、まぁ順当に考えれば当たり前だからです。
リアルも暇なタイミングだったので特に考えもなく承諾しました。
MTSTレンジが長らく戦いを共にした同胞達、ほかがそのフレンドという編成。
"それで" リーダーのMTが伺うような口調で聞いてきます。
"この白で大丈夫?"
"クソカワボイスで学占が出せない白専?ステレオタイプすぎるだろ…"
私は笑いながらログを見ました。
特にヒーラーはタイムラインを見ればその人がどの程度の実力で、
何を考えているのかが顕著に分かります。色なんて二の次です。
その人は有り体に言うと普通の白ちゃんでした。
ヒールワークを組んでいる形跡はなし、Clippingを意識している風でもなし、
アビリティはほどほどに使っていて、GCDはほどほどに回っている。
まぁ、零式をクリアできるようになったから、絶も行ってみたい──
動機が容易に想像できます。ツイッターのフォロワー数は知りません。
"大丈夫かは知らないけど、勝てるでしょ" 私は吐き捨てるように言いました。
"ノクタ占ってのはな、こういう時に出すもんだ"
…
……
………
固定の活動は至って順調に進みました。
学習効率に個人差はあるとはいえ、回を増すごとに練度はあがり、
ガルで絶の密度を思い知らされ、ジェイルに躓き、テマの登場に感嘆する。
誰もが通る道を皆おなじように辿っていきました。
私も煤けたタイムラインを引っ張り出し、漆黒用に色々組みかえ、
紅蓮学者は忙しかったなぁ…とか、ダイレーションのチクタク音また聞きたいなぁ…とか
昔を思い出しながらなんだかんだ楽しんでました。
そんなある日。
リーダーのMTから呼び出しがありました。
まぁ感想戦とかでサシでVCするのは日常茶飯事だったので、またただの雑談だろうと。
"白さんから辛いって相談があった"
正直に言うとそれを聞いて笑っちゃいました。大爆笑です。抱腹絶倒。
なんやかんや白さんは上手くやっていて、"ヒーラーの練度が低すぎて全く進まない"
ような状況ではなかったからです。DPSも十分にある。
順当にギミックに慣れていけば勝てるだけの固定で何が辛いことがある?
ひとしきり笑った後、話を聞いてみるとおおよそ以下のような感じでした。
"占さん(筆者)に全く信用されてないのが辛い"
"何かしら詰まった時はリーダーと占さんだけで話が完結する。私が入り込める余地がない"
"別に私じゃなくても良い上に、ギミック覚えるのも遅めで足を引っ張ってるのも分かるから猶更辛い"
それを聞いて、"め、めんどくせぇ…"と思うのが半分、
"まぁ気持ちはわからんでもない…"と思うのが半分でした。
先述しましたが、MTSTレンジと私は長らく道を同じくしてきた面々です。具体的に言うとUlduarより。
余りにも付き合いが長いため互いの事は把握しきってますし、VC戦略も完全に固まりきってます。
MTがギミックコールを行い、私が軽減&バフのコールを行うのが当たり前で、
詰まった時にどうするかは(慣習的に)私に決定権があるような感じでした。
タイムラインを掌握してダメージ量に対する軽減を組み立てるのはH2の役割なので
個人的には当たり前だろうと思っているのですが。
それらの戦略が固まりすぎているのと力量の違いを感じたのか、白さんには窮屈だったようで。
リーダーはメンバーを安心させるためか士気を上げるためか私が固定に入ることが決まった時に
"私の知る最強のヒーラーが来る"と喧伝していたらしいですし、
何度もコンテンツに行けば否応なく実力差は知り、知られるでしょう。
これは私の悪いところですが、白さんを全く信用していなかったというのはその通りでした。
信用していないというか、関心がないと言った方が適切でしょうか。
白しかできない上にタイムラインすら組めない&組もうとしないヒーラーなんて
吐いて捨てる程見てきたからです。
そういうのを相手にするなら話が分かる相手に相談したほうが話が早い。と、思ってました。
今になって考えると回復が欲しい場面でまず相方ヒラに相談するのではなく、
軽減をどうするかと、癒しのワルツを身内にお願いしている時点でやりすぎではありました。
こんなバリアヒラいたらハラスメントですね。通報しましょう。
どうするべきかなぁ…うーん…と思いつつもとりあえず1対1で話してみることにしました。
そして上辺だけの謝罪や慰めをするのは私には無理(やり方がわからん)なので
自分が考えていることをそのまま伝えました。
白さんがどうのこうのと言うより、不慣れなヒーラー全般にあまり興味がないことをそのまま。
それを聞いて白さんは"同じ土俵に上がりたい。努力したい"と言ってくれました。
まず作ったタイムラインを叩き消しました。
タイムラインの雛形だけ白さんに渡して、"自分で作ってみて。"と伝えました。
分からない所があっても正解を教えず、極力誘導していくようなやり方でTLを組んでいきました。
コールのやり方も教え、一任しました。
クソカワボイスで皆の幸福度が上がりました。何故かギミックミスが多くなった気はしますが。
まぁゲームは楽しくできたほうがいいので無問題でしょう。
ヒーラーのやり方を教えました。
最近私の日記で色々つらつらと書いてますが同じようなノウハウを共有しました。
少しずつですが、ふつうのヒーラーから良いヒーラーになっていったと思います。
最終的に私がクソカワボイスにメロッメロになって固定が崩壊した…
なんて面白いオチもなく順当に勝って固定としての活動は終わりました。
…
……
………
さて、ここからが本題です。
結局クソカワボイスを堪能しただけの美談なのか分からん話はどうでもいいです。
この話で分水嶺になったのは、白さんがリーダーに相談しその話が私に伝えられたことです。
もし白さんが誰にも相談しなければ、白さんの持つ悩みは解決されないまま
おそらくPTとしては順当に勝って順当に終わっただけでしょう。
私は固定に入った後は、いつも通りヒーラーとして最善を尽くしていました。(つもりです)
タイムラインを組み、ヒールワークを構築し、軽減&バフをすり合わせ、コールを行う…
"ヒーラーかくありき"という私の考える理想のヒーラーを
そのまま最大限実現させるための努力をしました。
この件で思慮が浅かったのは、白さんが望むものを汲み取れなかったただ一点にあると思います。
本稿前半で敢えて間違っていることを書きました。
"タイムラインを見れば何を考えているのかが分かる"
と書きましたが、
"タイムラインを見れば何を考えてプレイングしてるかが分かるが、望むものまでは分からない"
ということが正しいのだと思います。
現在のスキルレベルを見ても
"別に上手くなりたくもない" "努力して上手くなりたい" この両者の違いは分からないのです。
私はタイムラインを見て、白さんが前者のプレイヤーであると勝手に判断してしまいました。
それ故、特に相談することもなく自身で問題の解決策を用意し、
私一人の手で勝ちに行こうとしました。だって勝てちゃうから。楽だし。
本当は学んで成長したかった白さんにはそこが葛藤の種になったのでしょう。
相談してくれないし、相手は格上で言い出しづらいし、オッサンだし。
プレイングだけではその人が望むものは分からない──ちゃんと話す機会を持つことも
大事なのだなと学んだ一幕でした。
私もクソカワボイスに憧れて色々試してはいるのですが中々上手くいきません。
誰かガチ勢がボイチェンガイドを書いてくれることを期待しています。これが今の私の望みです。