5. 遠い昔、はるか宇宙の彼方で……
ここは、暗闇と真空に支配された、ある銀河系のどこかの、星の海です。
そこを音もなく進む、とても大きな宇宙船。
その船には、大きな泡の様に透明な部分があって、その中を覗き込むと大きな街が見えます。
その中の、無数に立ち並ぶ高い高い塔の中。
そこには、ある夫婦が暮らす部屋がありました。
「まみさん、出来たよ〜♪」
水色の髪をした人間族の小柄な女性は、今まで頑張って作っていた模型がようやく完成したので、それを夫に見せに来ました。
「……NAGI、なんだこれは?」
マミさん、と呼ばれた赤い髪をした長身の人間族の夫は、メガネの位置を直しながら、妻のナギが手に持つ、カニみたいな物体を指差しながらそう尋ねると、
「水陸両用メカロボ、モックだよ!」
「……?」
「水の惑星アキュアに配備されてるメカロボなんだって。ああ、かっこいいなぁ……♪」
うっとりとカニ風ロボットの模型を見つめる妻に、マミさん、と呼ばれた夫は、なんと答えていいのか分からず、
「そうなんだ……」
と、当たり障りのない返答をしました。
ちなみにマミさんとは、彼のニックネーム「マミーボーイ」の略なので本名ではありません。
「ね、これ水の中に入れて飾ってもいい?絶対かっこいいよ!」
ナギは部屋の片隅に置かれたアクアリウムを指差してそんな素敵な提案をしたんですが、
「……だめ」
「え〜〜; ; 」
しかし難しそうな顔をした夫に却下された、その時です。
『緊急事態発生。本艦内部に多数のバーカーの侵入を確認。コスモス各員は大至急出撃し、これを殲滅してください』
そんな放送がマイルーム内のスピーカーから大音量で流れてきました。
「緊急出動の発令だ。俺たちも出る。NAGI、行くぞ!」
「わかった!緊張するなぁ(^・▽・^;)」
そう、二人は対バーカー戦闘員、通称<コスモス>の新兵なので、迎撃の任務があるのです。
「「バーカーの襲撃だぁー!」」
「「助けてー!いやだー!!」」
二人は大急ぎで部屋を出ると、既に居住区の通路では、逃げ惑う一般市民と緊急出動するコスモス隊員が行き交い、大騒ぎになっていました。
「ら、らむさんは、どこにいるのかな!?」
ナギが同じチームメンバーである先輩コスモスの所在を気にすると、
「あの人ならきっと、もう現地に着いてひと暴れしてるだろ、とにかく急ごう!」
「そ、そうだね、うん!」
6.人類の敵、バーカー
かつて人類は、自分たちの代わりに仕事をしてくれる便利生命体を作りました。
ベンリ・ワーカー……略してバーカーです。
無限の労働力を手に入れた人類の進歩は止まるところを知らず、ついには星々の瞬く広大な外宇宙へと進出し、我が世の春を謳歌していたのです。
……しかし、そんな栄光の時代も長くは続きませんでした。
知能を持つバーカー達は、いつしか自らを使役する人類に対しての不満が爆発し、宣戦を布告。
母なる星の上で、お互いの生存を賭けたすさまじい激戦の末……優勢になったのは、バーカー達の方でした。
劣勢になった人類は、巨大な宇宙船を建造し、とうとう母星からの脱出に成功します。
しかし、それは追跡者たるバーカー達との、永遠にも思える長い長い戦いの航海の始まりでもあったのです。
そう、今、この時も。
「くそっ!バーカーめ、すごい数だな!」
大量の小型バーカー達の襲撃に対して、2本のダガーで応戦するマミーボーイが叫びます。
「私たち、まだ新米コスモスなのにー!; ;」
ナギも医療法術を傷付いた味方に振りまきながら、半泣きで戦っています。
市街地のアーケード街。その地上や壁を縦横無尽に走り回る、異形の生き物たち。
その姿はところどころ人間にも似ている部位があって……、
「うう、バーカー気持ち悪いよ(>_<;)」
「ひるむなNAGI、やられるぞ!くそ!」
しかし、敵の数が多い!ナギを守りながら戦うマミーボーイも押されています!
「「うわあぁー!!」」
周囲には次々とやられていく、コスモスの仲間たち……気づいた時には周囲を小型のバーカーに囲まれており……、
「うわああ!みんなやられちゃったよ!?」
この場で立っているコスモスは、マミーボーイ夫妻の二人だけ。絶体絶命だ!
「クソ、もう俺たちだけなのかよ!」
そして、マミーボーイ夫妻は見たのです。
<グヌルルル……!>
小型バーカーの群れの向こう、アーケード街の道の奥からのっそりと現れた大型のバーカーが、自分達をじっと見つめている光景を。
「デカいやつがくる!もう、ダメなのか……!?」
「ぎゃーー!モックくらいでっかいのがこっち見てるよー!!しぬしぬ!!(^;▽;^;)」
< ゴガアアアアーーー!!>
そしてそれは、巨大な体躯を激しく震わせ、味方であるはずの小型バーカーどもを弾き飛ばしながら、凄まじい速度で突進してきました。
「「うわああああー!?」」
その時です。
「何をしてるんですか!」
そんな声が聞こえたかと思うと、突然、二人の目の前まで迫っていた大型バーカーが、
< ゴガアアアア!?>
突然、ドバシュッ!と縦に真っ二つになり、いきなりただの肉塊と化したのです。
「「ええっ!?」」
そしてその衝撃波により、夫妻を囲んでいた小型バーカー達も一斉にバタバタと倒れ、すべて絶命していました。
「なんだ!?一体何が起こって……!」
「みんなやっつけちゃったの!?」
二人して、声が聞こえた背後を恐る恐る振り返ると、そこに立っていたのは……、
「「ランブレッタさん!?」」
……そこに立っていたのは、大きな両手剣を片手で軽々と担いだ、妖精族の女性のコスモス隊員でした。
腰まである、艶やかな長い金髪をツインテールに結び、尖った耳、そしてグリーンの瞳を持った彼女は、
「完全焼却します。危ないから下がってください」
「「は、はい」」
二人が道を開けると、金髪少女は無表情のまま大型バーカーの死骸に左の掌を向け、
「弱者必滅」
そう言うと、秒間10発くらいの発射速度で掌からエネルギー弾を連射し、バーカーだった肉塊を完全消滅させたのです。
「らむさん、す、すごい……!(^・▽・^;)」
「ん!?ラムさん、うしろだ!」
その時マミーボーイは、ランブレッタの死角、彼女の右斜め後ろに小型バーカーを発見したので報告したんですが、
キッ。
< !?……グガ……ピギュイ……>
金髪少女が一睨みしただけで、その小型バーカーは死にました。
「すげぇ、なんてデタラメな強さだ……!」
マミーボーイはナギの手を引いて立たせると、二人で同じチームの先輩コスモスの所へ。
「マミさん達、その程度の強さじゃ……いつか二人とも、死にますよ」
ランブレッタと呼ばれた少女は二人に背中を向けながら、次の戦場へ向かおうとしましたが、
「面目ない。俺も、もっと強くなりたい。ラムさんみたいに」
「こくこく」
マミーボーイ夫妻は真剣な表情で、先輩の背中に、今の悔しい気持ちをぶつけました。
「……今は、艦内に入り込んだバーカーどもを一掃するのが先です。行きましょう、お説教はそのあとです!」
「「はい!」」
そしてニ人は先輩コスモスとともに戦場を駆け回り、その日はなんとかバーカーの撃退に成功したのです。
7. 強くなりたい!
俺たちも強くなりたい。
先輩コスモス・ランブレッタにそう誓ったあの日から、マミーボーイ夫妻は連日のように彼女から厳しい戦闘訓練を受け続けており、身体中ボロボロになっていました。
「いてて……あの廃課金のクソ廃人め……!」
マミーボーイ夫妻は久々の休暇で、自宅のソファの上で、疲れ切った夫はお酒を飲みながら妻に愚痴をこぼしていました。
「そんな事言っちゃダメだよ(^・▽・^;)」
モックの模型をいじりながら、しかし妻は夫を嗜めます。
「でもさ、ラムさん、あれから俺の作る装備全部にダメ出ししてくるんだよ……NAGIお前、あの人の装備覗いたことあるか?」
「え、どんなの?」
妻の問いに、マミーボーイは遠くを見るような表情で、
「全部位の武器とユニットに、余剰スロット最大積載量まで穴開けして、そこに頭おかしい値段のオプション目一杯詰め込んでてさ……あんなんどうやって作るんだ……あの人絶対イカれてるよ……」
目を瞑りながら、そう答えました。
「そうなんだ(^・▽・^;)」
ハァ、とため息をこぼしながらマミーボーイは妻に質問します。
「……そんなのを大金かけて作っても、ボスを倒すのにせいぜい1秒しか変わりませんよ?って言ったんだけど……あの人なんて答えたと思う?」
「えー……?わかんないなぁ……」
モックを見つめながら首を傾げるナギに、カラン、とグラスの中の氷を鳴らしながらマミーボーイは、
「何言ってるんですか、ボスを1秒も早く倒せるじゃないですか!……って真顔で言うんだよ」
全然似てないモノマネで、そう答えました。
「うーん、やっぱりよくわかんないや(^_^;)」
「……俺たちもいい装備作ったら、あんな風に強くなれるのかな……?」
「うーん……お金稼ぎ頑張りますか♪」
「そうだな……そうするしかないか……」
そして二人は、この日から必死にお金稼ぎを頑張り始め……毎日毎日、ランブレッタから地獄の戦闘訓練も受け続けました。
「……チェインはそれだけ貯めれば十分です!100にするよりたくさん撃って回転率を上げて下さい!」
「はい、ラムさん!」
「マミさん、返事が違うでしょう!」
「イ、イエス・マム!」
ある時は、見渡す限り海の星で、銃の特訓をしたり、
「ナギさん!治療アイコンが光ったらあなたの周囲にいる誰かが状態異常にかかっている証拠!なので、光ったら即発動です!遅い!遅い遅い!もう一回!」
「イエスマム!(^・▽・^;)」
ある時は、溶岩でその身を焦がされそうな、火山の惑星で……来る日も、来る日も。
「二人とも、ここから森の出口まで、絶対地上に足をついちゃダメです!PP管理が身につけばずっと飛んでいられます!ダメならまず、自分の装備品の性能を疑いなさい!さぁ、飛べーー!」
「イエス、マム!」
「イエスマム!(^・▽・^;)」
……いつしか彼女らのチームは、この船で知らぬ者はいないほどの高名な、最強チームに生まれ変わっていたのです。
8.先輩の威厳
ある日の夕方。
ツインテールにした金髪をしょんぼりと垂らし、ランブレッタは一人、ある空中公園のベンチにちょこんと座り、黄昏ていました。
「……もうお金がありません……」
……頑張ってお金を貯めて、いちかばちかの装備強化をショップに依頼しても、結果はほとんどが失敗。
(はっはっはっ。運が無いんじゃない、君?)
ぎりっ。
頭にくるショップ店員の顔を思い出してしまい、歯軋りするランブレッタ。
……でも、それでもめげずに、装備品にはその時付けられる最高の物を、と、今までがむしゃらに頑張ってきました。
「はぁ……」
……先日、新しい武器シリーズが発表されたと聞き、全財産を注ぎ込んで、最高のオプションを吐きそうになりながらどうにか工面して組み込んで、なんとか完成させたものの……、
「ん……あれ……?」
その時、空中に映し出されたホログラム・コマーシャルが目に入りました。
『すべての武器を過去にする!なんと、これまでの常識を覆す、まったく新しい武器シリーズが完成しました!近日発売!』
曇った瞳でそれを眺めるランブレッタ。
「ははは……もはやあんなの買えませんね」
……もう、疲れました……。
そんな風にランブレッタがぼんやりと考え事をしながら、人工の夕焼けを眺めていた時、
「あれ、ラン先輩……?何してるんですか?」
「ああ、ユウリプさん……」
それは最近、彼女たちのチームに仮入団した後輩の女の子でした。
輝く金髪のロングストレートに長い耳、青い瞳の小柄な妖精族の少女、ユウリプはランブレッタとよく似ていて、この二人が並んでいると姉妹と間違われる事も多いのです。
「どうしたんですか?なんか元気ないですよw」
こんな風に、どこまでも明るく可愛いこの後輩にだけは、なぜだか彼女は、普段隠している本心をよく話してしまうのです。
「……もう私の時代は終わりました。マミさんナギさん夫妻はどんどん強くなってきてて……ははは、もうすぐ私も、追い抜かれるかもしれませんねぇ」
乾いた笑いをする先輩を見て、これはいけないと、後輩は頑張って応援してくれました。
「もう!何言っちゃってるんですか!ラン先輩、すっごく強いじゃないですか!ボク、みんなから英雄って呼ばれてるラン先輩の事、尊敬してるんですよ!だからそんな、弱気にならないでくださいよ!w」
ランブレッタはそんな後輩の声援を受けて、少しだけツインテールの輝きを取り戻すと、
「ありがとうございます、ユウリプさん」
「いえいえw」
そして、二人の間になんとなく温かい空気が生まれて。
「……実は私、すべてのバーカーを倒し切ったら、のんびりと旅をしたいと思ってるんです」
「……ラン先輩……?」
ランブレッタは、自分とよく似た後輩に、ぼんやりと思い描く将来の夢を語り始めました。
「色んな場所に出かけて、色んな赤ワインを飲んでみたいですね。それで酔っ払って昼寝してると、もう一日が終わってるんです。そういうのって、素晴らしいと思いませんか?」
それってダメ人間なんじゃ……?なんて言わずに、ユウリプはこの疲れ切った先輩に元気を出してもらいたいと、軽口で返す事にしました。
「……うーん、ラン先輩、それはとってもいいとボクは思いますけど、でも、そんなんじゃ生きていけませんよw 」
「そうですね。そうかもですね、あはは」
やっと笑顔を取り戻してくれた先輩を見て、後輩はほっと胸を撫で下ろしました。
「……とにかく今は、マミさん達に死ぬほどカッコいい所を見せ続けなきゃいけないんです。そしてバーカーをこの世から全部消し去って、この戦いを終わらせたい。優雅な旅をするのは、その後ですよね」
「そうですよ、頑張りましょう!ボクもカッコいいラン先輩が見たいですw」
「ええ!」
二人で笑い合い、和やかな雰囲気が生まれた事を、ユウリプはとても嬉しく思いました。
(……ラン先輩のこんな小さな願いが、どうか叶いますように)
先輩思いの後輩が優しい表情で目を瞑った、その時です。
『全コスモス隊員へ緊急連絡。全コスモス隊員へ緊急連絡』
「なにごと?」「な、なんだ!?」
二人のいる空中公園の、いえ、艦内の全てのスピーカーから、大音量で放送が流れ始めたのは。
『先程、バーカーの本拠地が特定されました。本艦はこれより当該宙域へ急行し、すべての戦力をもって大規模攻勢を仕掛け、これを撃滅します。本作戦発動まで全隊員はこれより72時間の待機をお願いします』
9.母なる星
それは、元々分かっていた事でした。
人類が誕生し、バーカーを生み出した場所は、この宇宙でただ一つの惑星だったはずなのに。
しかし、幾世紀にもわたり広大な宇宙空間の大航海を強いられた人類は、忘れてしまっていたのです。自分たちが生まれた母なる星の、現在位置を。
「ただいまー!!でいいのかな?(^・▽・^)」
無重力ブロックで空中を漂いながら、ナギは窓の外に見える人類の母星に、元気に挨拶しました。
「あれがバーカーの巣……汚い星だな。大気成分はどうなってんだ?」
街の光も見えない、赤く不気味な惑星を眺めながら、マミーボーイが疑問を口にしましたが、
「あの、マミ先輩、ボクたちコスモスは遺伝子改造されてますから、その、真空の宇宙空間でも生身で戦えますし、えっと、気にする事ないのでは……?」
人類最強と謳われる三人の大先輩のうちの一人に、おそるおそる突っ込むユウリプ。
「そういえばそうか。ユウリプさんの言うとおりだ。俺たちはどこでだって戦ってやるさ!」
「ユウリプさんはすごいなぁ〜!いい後輩ちゃんを持ったね♪」
……この人たち本当はめちゃくちゃ強いのに、なんで普段はいつもこう、突っ込みどころ満載なんだろうなぁ……?なんて思いながらも、
「いえw」
満面の笑みで返事する、可愛い後輩ちゃん。
「あ、光った!見て見て、あっちも、こっちも!?(^・▽・^;)」
すると突然、ナギが大きな声を出して窓の外を指さしました。
「始まったか……!」
惑星のあらゆる場所から、いくつもの光が点滅を始めたのを見て、マミーボーイは顔の表情を引き締めました。
「作戦の第一段階、100万の全コスモス同時テレポートによる、惑星全土同時多発攻撃です!す、すごい……!」
ユウリプが窓に額を付けながら、食い入るようにその光景に見入っていると、
「そうです。でもあれはすべて陽動です」
司令部に出向いて最後の打ち合わせをしていた隊長のランブレッタが、三人の元にゆっくりと飛んできました。そして、
「人類の未来は、私達4人に託されました。全員、メカロボのハンガーデッキに集合です!」
その言葉を聞いた3人は無重力で浮いていながらも、各々が直立不動の姿勢を取り、美しい敬礼で応えました。
「「「イエス・マム!」」」
10.出撃の前に
攻撃空母<ラグズ>のメインハンガーデッキに居並ぶ、4機のメカロボ達。
最新鋭の人型宇宙戦闘機< C.I.S >に乗り込むのは深紅の機体のランブレッタ、白銀の機体のユウリプ、漆黒の機体のマミーボーイ。
だが、ナギだけは本人たっての希望により、旧式メカロボのモックを大改造して青色に塗装した<高機動型モック・カスタム>。
しかし、コックピット内で発進許可を待つだけの4人は、この決戦の前に皆、無言でした。
『……そういえば……今更何ですけど……』
この緊張状態に耐えられなくなったのか、新米のユウリプが、最初の言葉を発しました。
『あの、うちのチームって、ただ<ランブレッタチーム>って便宜上、呼ばれてましたけど……』
通信機から聞こえて来る、ユウリプの声。それを聞いた何名かが、ハッと息を呑むような音が各人の機内スピーカーから一緒に聞こえてきました。
『あれって仮なんですよね?wその、本当のチーム名はなんて言うんですか?』
その質問に、誰も答えません。あー、とか、あの、その……!とか、おそらくマミーボーイとナギが発した言い淀む声が何秒か続き……、
『えっと……なんか不吉な名前とかですか……?あの、だったら無理に言わなくても……!」
居た堪れなくなったユウリプが、目を白黒させながら発言を取り消そうとした時でした。
『正式名称は<レインと愉快な仲間たち(笑)>です!』
ランブレッタはハッキリとした発音できちんと答えました。
「ちょwラムさんバラさなくてもww恥ずかしいww」
「で、でも〜私は、楽しい名前だと思うんだけどな〜(^・▽・^;)」
マミーボーイ夫妻が同時に発したノイズまじりの大音量の突っ込みの直後に、
『え、変な名前……って、うそうそ!うそですよ〜!い、いいチーム名だなー!あはは……』
ユウリプの素直な感想が続きました。
……やばいやばい、このとんでもない場面で地雷踏んじゃったー!なんてユウリプが顔を真っ赤にした、その時です。
4機の足元の装甲ハッチが開き、赤色の発進シグナルが点灯しました。
『仕方ないでしょう、今は亡きマスターだったレインが試しに適当に付けたらそのまま受理されて、もう変更が効かなかったんですから!そんな事より発進準備です!』
『『『イ、イエス・マム!』』』
もう惑星表面が肉眼でハッキリと見えます。ここは既にこの惑星の大気層の内側なので、巨大な母艦が大気の流れに逆らって航行している為か、艦体が軋むギシギシとした嫌な音が聞こえてきました。
そしてコックピット内には戦闘出力を発揮し始めたリアクターの轟音が響き渡り、発進シグナルは赤から黄色に切り変わりました。
『うわああ!ボクたち、いよいよあそこに飛び込むんですねえぇ!』
『ぎゃああ!怖いいぃぃ!!(^;▽;^;)』
『行くぞ!人類の力、見せてやろうぜ!』
そんな三人の後輩達の騒がしい声を聞いていたランブレッタは、一人無言で、発進シグナルを見つめていました。
そして……黄色のシグナルが、ついに青色に変わります。
それは作戦の第二段階、ランブレッタチーム4名の地上降下作戦に、ゴーサインが出た合図でした。
『全機、発進!』
ランブレッタはそう一言だけ発すると、メインスラスターを勢いよく吹かして、一番最初に母艦から自機を切り離し、自由落下を始めました。
『『『イエス・マム!!』』』
そして残り3機のメカロボ達も、次々に母艦から切り離されました。
目指すは人類発祥の惑星、すべてのバーカーを統べるというマザー・バーカーの討伐。
今、数多のコスモス達がバーカーと大規模な戦闘を繰り広げている惑星目掛けて、たった四人の英雄を乗せたメカロボ達は、ものすごいスピードで降下していったのです。
つづく