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Kaz Sunligt

Ultima [Gaia]

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マヌケな勇者の小話7「はちみつの時間」

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※このシリーズは酒場の勇者の冒険譚(自称実話)を集めたものです。

マヌケな勇者の小話
7:はちみつの時間


言い争う声で目が冷めた。今日もだ。
母と父は飽きずに朝から本気で言い争っている。
ヒステリーと、尊大な小心者。お似合いだ。
さすがに最中に愛想をふりまいても意味がない。
グレースはそそくさと通り抜け台所へ。
牛乳、パン、はちみつ。ささっと食べて、朝食、終わり。
少し考えて、彼女ははちみつのビンを鞄に入れた。
そしてとっとと家を出た。


勇者は女将のどなり声で目を冷ました。今日もだ。
朝日で目がしばしばする。
まだ少しぼやけた視界でブーツを履いた。
いや、履きかけた。奇妙な感触がする。ねっとりと。
引き抜いた足の裏には、水飴状の物が…はちみつだ。
「なんだこれ、洗うのかなり面倒くさいぞ…。」
そう言って勇者は肩を落とす。
グレースは影から見ていた。意地悪い表情は満足げだった。


酒場の表で、バケツを置いて勇者はブーツの中を掃除している。
まだ汚れは残っているだろうか? と中を覗く。
その様子をグレースは屋根から眺めていた。
手には店の植木鉢。
ふっ と軽く放る。
「ぬ"あ"ぁっっ!」
鉢はきれいに勇者の後頭部へ吸い込まれていった。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
頭を抱えてうめいている。
服、それと湿ったブーツは土まみれだ。
「なんだ、うるせぇぞ!!」女将の声がした。
悪い笑顔が、それを見ていた。


アイドルというものは居る。街の人気者。
そんな娘を見かけた勇者の顔が、イケメンモードへと切り替わる。
「やあ、お嬢さんたち。」
そう声をかける勇者の足元に、空の酒ビンがころころ転がってきた。
「今日もオッッ!?」
言いかけてビンを踏み、勇者がすっ転ぶ。
「あら、勇者さん……今日も個性的ね!」
「はははは…そうだろう、そうだろう。いててて。」
してやったり。ほくそ笑んでいた。
勇者の弁当だったサーモンサンドをほうばりながら。




勇者は今日は、ドードーの卵を狙っている。
親鳥にばれないように、そっと、そーーっと藪を進む。
あと数歩。だがここで油断してはいけない。
そして右手を伸ばした時、
爆竹が放り込まれた。
パン! パン! パパン、パン!
驚いたドードー達が一斉にこちらを向く。
「あっ……、その、ゆ、許してくれ…。」
鳥に言葉は通じない。勇者はほうぼうからつつき回されたのだった。
藪の奥では小さく笑う声がした。


自分の周りが暗く影になる。
不思議に思い、そしてはっと後ろを向くと巨大な雄牛が立っていた。
鼻息荒く地面を蹴り上げ、すでに敵意をむき出しにしていた。
低く唸り勢いをつけ、こちらに突進してくる。
血の気が引き足は力を失った。
せつな、目の前に青い布がばっと広がった。
大牛は布に視界を奪われ、足を止めもがき荒ぶった。
「さぁ、逃げるぞ!」
勇者は彼女を小脇に抱え、まっすぐに逃げ出したのだった。


「は、腹が減った…な……」
街の入り口で彼女を降ろし、勇者はへたりこんだ。
グレースが自分の鞄をさぐると、中にチョコレートが1箱あった。
むっとした顔つきで、差し出す。
勇者がそれを受け取るなり、
ばっと鞄を閉じて抱え、グレースは駆けだした。
その背中は、勇者にはどこか楽しげに見えた。


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