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FCスターライツ学園 第3話『Don't Look Back In Anger』【中編】

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※この物語はフィクションです。
 登場する人物・団体・名称等は、実在のものとは関係あったりなかったりします。
※内輪ネタが多数含まれています。ご了承ください。
※行間を確保するため、フォントサイズを小さくしています。
 スマホから見る場合は、各自でサイズを調整すると少し読みやすくなります。

※これは中編です。前編はこちら

◇◇◇◇◇◇◇

FCスターライツ学園 第3話
〜Don't Look Back In Anger〜 【中編】



 ここ最近、FCスターライツ学園はある問題に直面している。
 学園の生徒を狙った襲撃事件。
 被害者の証言によると、襲撃犯は黒ずくめの衣装に身を包み、両手に木製の短刀を持っていたという。
 犯人確保の武力担当として、ニコラウスさんの旧知であるライラさんに白羽の矢が立った。学園内での自由と、あわよくば犯人のターゲットになるために、期間限定で転校してきたのだ。
「ロゼッタ、こっちはなんなん?」 
「そっちはテニスコートに向かう小道ですね」
 私とライラさんはパトロールとして、放課後に学園の周りをうろついていた。
 事件現場はいずれも、学園からそれほど離れていない。ひとけのない場所で、ひとりかふたりでいたところを襲撃されている。
「じゃあ、試しにワイがひとりで歩いてみるから、しばらくしたら追いかけてな」
「囮になるんですね。わかりました」
 ライラさんは小道へと入っていった。
 襲撃事件が発生してから、生徒たちの帰宅時間は自主的に早まった。今まで用もなく学園に残っていた人たちも、数人のグループで早々に帰っている。
 そんな理由で、学園の周りに人はいない。
 私は気づいてしまった。
 これ、私が襲われるおそれがないかい?
 急いで小道に入るが、すでにライラさんの姿はない。
 追いかけた途端に――。
 背後に、気配がした。
 小道を駆けながら背後を見ると、思っていたよりも遠くに、人がいた。立ち止まり、向きあう。
 体のシルエットを隠す、大きな黒いジャケット。額に鉄板のついた黒い覆面。それにより性別も年齢も推測できない。
 両手に木製の短刀を持って、ゆっくりと、私に近づいている。
 私は隠し持っていた筒を手に取った。ボタンを押すと、筒の内側から筒が次々と伸びていき、刀の長さになる。これも機工部の発明品だ。強度は今ひとつだが、ないよりマシだ。
 襲撃犯が、消えた。
 右側面からの攻撃を受け流す。
「ほんとそれ、めんどくさい!」
 ニャルちゃん曰く、『縮地』という技。目にも止まらぬ、高速の移動術。
 私は左足を前に滑らせると、体を回転させて、刀を横薙ぎに払った。しかしそれは、あっさりと避けられる。
 これでいい。狙い通り、私と襲撃犯の位置が入れ替わった。ライラさんが戻ってきたら挟み撃ちができる。
 再び場所が変わらないように、足の運びに注意して、時間を稼ぐ。
 ――なにかおかしい。うまく行きすぎている。こちらの誘いに、あえて乗っているような、そんな奇妙さ。
 ライラさん早く来てよ。
 襲撃犯が、飛び退く。
 なんだ? 忍術か?
 身構える私をあざ笑うかのように、襲撃犯は脇道へと消えた。
 ニャルちゃんと戦ったときのことを思い出す。あのときは、完全に姿を消した相手から、攻撃を受けた。
 しかし、なにもない。もしかして逃げられた?
「ロゼッタ!」
 小道の向こうから、ライラさんが駆けてくる。
「なんともない?」
「ええ、なんか遊ばれてた感じでした」
「今までの被害者は丸腰だったからちゃうかなー」
 確かに私は武器を持っていた。本当にそれが理由なのだろうか。
 ライラさんが私の肩を叩く。
「とりあえずラウスに報告しとこか」
「そうですね」
 私は武器を納めた。
 しかし収まりきらないモヤモヤが、胸中にずっと残っていた。

   ◇

 私が襲撃を受けてから数日。
 新たな被害者は出ておらず、生徒たちの危機感は薄れ、日常へと戻りつつあった。
 ライラさんは完全に学園に馴染み、校外のパトロールや戦闘理論のレクチャーのかたわら、学園生活を謳歌している。
 昼休みに私は、焼きそばパンを買うために購買部へ向かった。
 月に何度かある、焼きそばパンが食べたい日。売り切れていたらジョニー先輩のところに行けばもらえる。おいしいからライラさんにも食べてほしいな。
 階段を降りたところで、私は足を止めた。
 エントランス近くに鎮座する木人。
 その木人の前に立ち、ライラさんがうどんを食べていた。
「ああ、ロゼッタ。いいところに。ちょっと聞きたいんやけど」
 最後の1本を勢いよくすする。
「この木人て名前あるん?」
「いや……ないんじゃないですかね。聞いたことないです」
「それはあかんな。名前は重要やぞ。……うん。ジュリアとかどうやろ?」
「ニコラウスさんに確認してみては?」
 不満そうに、ライラさんはうどんの出汁を飲み干した。空になった容器をゴミ箱に捨てる。
「ライラさん、そのうどんって、食堂の?」
「まさか。デリバリーしたん」
 ライラさんが口元についた出汁を拭う。
「ロゼッタ、食堂のうどん食べた?」
「いえ」
「めちゃめちゃ不味いで。不味すぎて、めっちゃアドバイスしたった」
 そういえばこの人、週に30回くらいうどん食べてるって噂があったなあ。
「それがこの学園のあかんとこ、ひとつめ」
 ライラさんが木人に視線を移した。いつの間にか、左手に木刀を携えている。
「あかんとこ、ふたつめ」
 左足が微かに下がる。
 次の瞬間には、袈裟斬りに木刀を振り下ろしていた。木人がぐらぐらと揺れる。
「こんなにいい木人があるのに、活用できてない」
「活用……ですか?」
「そう。木人は本来、反復練習により、基本の動きを体に染み込ませるためのもの」
 ライラさんが木人を切っ先で突く。
「けどこの学園の生徒は平和を享受しすぎて、基本もできてない。ワイがレクチャーしても、まったく身にならないくらい、闘争心が薄れてる。」
「いいじゃないですか、平和なのは」
「闘争心は向上心なん。自分の成長方法を知ってる人間は成功するって、古代アラグ文明の碑文にも書かれてる」
「いつもそれっぽいこと言って説得しようとするの、やめてください」
 ライラさんは木刀を肩にかけると、私へ体を向けた。
「だからワイは、全校生徒強制参加のバトルロワイヤルを提案したい」
 いやいやいや、なに言ってんだこの人。
「そんなの無理ですよ。戦いが不慣れな人もいるんですから」
「ラウスも同じこと言うてた」
 ライラさんは木刀を逆手に持ち直すと、私に投げて寄越した。にやりと笑い、襟首から服に手を入れて、新たに木刀を引っ張りだす。しかし小太刀ほどの長さしかない。それで充分だってか。
「じゃあロゼッタ。君は、どうかな?」
 明らかな敵意を、私に向けてくる。君は不慣れではないだろう。そんなことを言わんとする眼差し。
 これは、おそらく試験のようなもの。一矢報いて、闘争心があることを示すことができれば、ライラさんは考えを改めるかもしれない。
 私は木刀を構えた。
 右足をすり足で滑らせた瞬間――。
 ライラさんを見失った。
「えっ?」
「遅すぎなん」
 私は床に倒れた。左の脇腹に、痛みが遅れてやってくる。
 息が、しにくい。
 ライラさんには何度も手合わせをしてもらったが、こんな動きは見たことがない。
 朦朧とする意識の中で、ライラさんの言葉は、はっきりと聞きとれた。
「ワイは、この学園に革命を起こす」

〈後編へつづく〉

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