(※ここから先、ロールプレイ的日記、つまり創作物があります。また、若干のネタバレを含むことがあります。ご注意ください)
◆星4月1日◆
エーテルのサンプルを送ることになった。
モグレターに任せるわけにはいかないので、厳重に保護して私が自ら持っていくこととする。
危険はないだろうから、ロスも連れていく。
◆星4月2日◆
随分話をした。
特殊な妖異のエーテルなのだからすぐに浄化するのは勿体ない、という意見が出たためだ。
参加した人数は多くはないが、その時のどよめきがまだ耳に残っている。
血筋の秘密は話してはいないが、あの屋敷で異常があったことは知っている面子だ。
それだけに、もっと調査をすべきだというのだ。
それについては私が主導することとし、必要なものがあれば密かに伝手に頼る、ということになった。
どうやら、まだすべては終わらなそうだ。
◆星4月3日◆
シロガネへ戻ってきた。
調査……とは言うが、そうたやすいことではない。何しろ持ち主の同定だけでもそれなりに苦労したのだ。
具体的な方向性も決まっていない。
困った話だ。血の呪いを受けた人物のエーテルを使って、術式でもこさえろというのだろうか。
◆星4月4日◆
調査および活用はひとまず保留ということにしておき、案ができ次第着手すると伝えた。
しかし私は随分冷血に見られているようだ。いや、それはそれで都合がいいのだが。
◆星4月5日◆
例のエーテルは厳重に封印処置の上保管。私の血筋にかかわった人物の成れの果てをこうしているのも中々にどうかと思う状況ではあるが、致し方ない。
近く、関わったうちすぐ連絡が取れる相手にでも相談するべきだろうか。適任はテンだが、どうも面白がられる気がしてならない。
とはいえあれで彼女は真面目に取り組むところもあるので、機会があったときにでも話してみよう。
◆星4月6日◆
今日はロスと遊んだり、ヤンサまで足をのばしたりした。
とはいえ雨に降られたので防御術式を張り、ロスはそのまま雨水を与えることになった。
やはり雨は嬉しいものらしく、ロスは終始元気であったが……このところの雨の多さに飽きないのだろうか?
時々思うのは、ロスと明確な意思疎通ができたら何を話すのだろうということだ。私からも、ロスからも。
だいたいこんなに長く一緒にいる予定ではなかったし。まったく、事実とはいたずらなものだ。
◆星4月7日◆
雨が多い。湿度も高く、調温術式がなければ自宅にいる時に薄着になっていただろう。
もちろん湿度の調整も行われている。
でなければ地下の本がだめになってしまうだろうし、虫だって湧きかねない。書架は特に厳重に術式を組み込んである。
一方でロスは元気だ。やはり雨との相性はいいらしい。
とはいえ梅雨があければ、今度は乾いてしまうほどの猛暑になるかもしれないが……
◆星4月8日◆
最近髪が伸びてきたので、切るかどうか悩むところだ。
切った方がさっぱりするが、個人的な気分転換にもいい。
それに髪には魔力が宿る。切ったらいつも通り魔法的に焼却することになるだろうが、長い髪は一種のお守りのようにも使えるのだ。
武器を失い、魔力形成の杖も呼び出せないときにはそういった些細な要素がカギになる。もっとも、そんな状況にならないのが一番だが。
◆星4月9日◆
美容師を手配しようにも信用できるところはなかなか都合がつきにくい。
とりあえず簡単に櫛でとかしておくことにした。こういうセンスはさっぱりないので仕方ない。
で、ロスの剪定をした。こっちはきれいにまるくできる。これくらいファッションというのも簡単だといいのだが。
そういえば昔のようにバンドでまとめるのもいいか。少し幼く見えそうだが、まあいいだろう。敵対者の油断も狙えるかもしれないし。
◆星4月10日◆
梅雨明けもそろそろ見えてくるころか。
ロスに水を纏わせる術式を簡単に作って試してみたところ、歩き回る水球苔玉みたいになってしまった。これはこれで愛嬌があったが、ころころ転がると片っ端から濡れるのでお蔵入り。
ロスを猛暑から守る術を考えておきたいのだが、なかなか難しい。服を着せるわけにもいかないし……
◆星4月11日◆
ロスはいつ触ってもしっとりしている。
まあコロポックルの幼獣なのだからそれはそうかもしれないが、これを維持すればいいわけだ。
実際行き倒れていた時のロスはカサカサだった覚えがある。
保水術式……とでも言えばいいか? しかし単純にやっても昨日のようになるだけだ。
保湿術式……というとなんだか美容効果すらありそうな感じだが、まあその線で考えてみようか。
◆星4月12日◆
いい具合にロスをしっとりさせる術式がなかなか組めない。すぐ水浸しになってしまう。
もともと保水力があるから、余計なことをするとかえってよくないのだろうか。
そして気付いたこととして、いっそ単純にウォーターシャードから水を取り出して適宜かけてあげるほうが圧倒的に楽なのではないか。
……いや。なんとなくそれは負けた気がする。なんの勝ち負けなのかはわからないが、まあ、最終的にそれに落ち着くにしろ、まだ模索してみよう。
案外、こういう研究が意外なところで役立つのだ。
◆星4月13日◆
防御術に属性を持たせるという案が浮かんだ。
早速簡単に試してみたが、今度はロスが固くなってしまうという問題が起こった。
どうやら付着した水分が防御術により硬化してしまったようだ。
とはいえ刺さったりするほどではなく、シャリシャリと氷の様に飛び散る。
単純な組み合わせではやはりだめだ。
◆星4月14日◆
研究は一時置き、擁書楼裏手の温泉に入りに行った。
なんでもいろいろ効能があるらしいので、妖異といいロスといい、研究の疲労を飛ばそうと思ったのだ。
ちょうど曇っていて涼しい風だったこともあって、なかなか良い気分であった。
まあ、商館にひいてある湯もこれなので別にどっちに入ってもいいのだが、気分の問題というのは重要である。
◆星4月15日◆
アム・アレーンでの出来事を思い返したが、たしかあの時は普通にロスに水をかけていた気がする。
結局それが一番か……だが、ロスが散歩しているときに水分がなくなって力尽きてしまうのはまずい。
シロガネ範囲なら池もあるし安全なものだが、海水はあんまり……良いとは言えないようだし。
まあ、自分の限界くらいは分かっているだろうが、それなら携帯できる小さめの水袋でも渡しておいた方がいいのだろうか?
ロスのためと思ってはいたが、余計なお節介かもしれないわけで……なかなかにこのまるい生物は悩ませてくれる。
◆星4月16日◆
そもそもロスの出身が未だ不明である。
群れからはぐれたのか、飼い主がいたのか。飼い主については望海楼を通じて調べてもらったが音沙汰なし。
群れにしても、どうやら種としての原産はオサードらしいが見たことがない。
ひょっとして捨てられたのだろうか? とも思うが、こうまで無害で手間のかからないものを捨てるのも中々理解しがたい。
まあ、結局随分長い時間一緒に過ごしているわけだが。
ロスのスペースも作ってしまったし、このまま成長してひとり立ちできるようになるまで見守るのも、まあ悪くはない、か。
◆星4月17日◆
コロポックルがどれくらいの年月で成獣になるのかはわからないが、聖モシャーヌ植物園にいたのに比べるとやはりロスはだいぶ小さい。
微妙に成長している気がしなくもないが、成長するのは草(?)の部分位で、あっちのコロポックルのように芯が大きくなっている感じはあまりしない。
栄養不足……の線は一応ある。飴などではなく肥料をやるべきか? しかし飴で喜んでいたし、あれは蜂蜜なども使って地味に栄養はあったはずだ。
ヒトと栄養の概念が違うのはそうかもしれないが……植物にとっての栄養といえば日光で、その点ではロスはよく日向ぼっこをしたり、暑い日は水に浸かったまま日光に当たる。不足ということはないだろう。
向き合えば向き合うほど謎が多い。そして保湿術式は完成しない。ままならないものだ。
◆星4月18日◆
そういえば、ロスのように幼獣などを連れ歩く冒険者はそこそこ多い。
それに伴ってか、随分前からそういう人々と連れられている生物のためのエサが、冒険者ギルド経由で配布されている。ときどき、ロスも他の冒険者からもらうことがある。
そっちも喜んで食べるので、多分美味なんだろう。
飴ばかりではあれだし、もしかしたらよい栄養になるのかもしれない。仕入れておくことにしようか。
◆星4月19日◆
そういうわけでエサを買ってみた。ひとまず小さめのを一袋。味はプレーン。
早速与えてみたらよく食べるので、気に入ったようだ。
そういえば、以前飴だけじゃなくクッキーなども与えた覚えがあるが、意外とえり好みしないのだろうか?
まあ、手間がかからないのはいい。とはいっても、どっちにしろ食べ物がなくても水と光で栄養は足りるようだが。
◆星4月20日◆
ロスが不思議な動きをしていた。横にくるくる回りながら移動して、ビシっと止まる。というのを繰り返していた。
何かの踊りに近い気がする……新しい遊びだろう。本人(?)は楽しそうなので放っておくことにした。
さて保湿術式だが、ふとした思い付きの構成が使えるかもしれない。
猛暑からロスを守るため、これもまた試してみよう。
◆星4月21日◆
しっとり感を維持させることはできたが、ロスの温度がぬるくなってしまった。蒸発しないために熱がこもるのは盲点だった……やはり無理に水分を保持させるよりは自然のままにしておいたほうがいいのかもしれない。
こまめにシャードで水を与えることにしよう。結局一番単純な方法になってしまったが、水分があるにもかかわらず倒れてしまうよりはいい。
冷却の術式などは下手にかけられないし、調温術式は生物に直接かけるものではない。
そういうわけで、水を適宜与える、ということにする。
◆星4月22日◆
ボズヤ戦線に動きがあったようで、近々別の戦場への応援を依頼する、などという具合の手紙が届いた。
私の挙げた戦果は大したものではないが、新天地の調査も含めて意義あるものにはなるだろう。
装備の手入れを今一度確認し、十分に行っておくこととする。
◆星4月23日◆
ザトゥノル高原。
なんでも残留帝国軍はこの地に旗艦を構え、なんらかの作戦を行っているようだ。
まだ現地に入っていないため様子ははっきりしないが、戦況は芳しくないらしい。
とはいえ陣地構築には成功しているとのことなので、近いうちに乗り込むことにはなるだろう。
◆星4月24日◆
シドゥ達に同道し、ザトゥノル高原の戦闘に参加した。
本国の堕ちた敵方のどこにそんな戦力が残っていたのか、制空権を掌握された状態での出撃となった。
レジスタンスの陣地に居てもなんとも落ち着かない。魔法障壁があるとはいえ、連中は諦めることなく砲弾を浴びせてくる。
幸いなのはこの障壁は地脈を利用したもので、魔力が尽きて障壁が突破されるなどという心配とは無縁らしい。
連戦が続き、それなりの報酬を得、ついでにテンとラズリムさんへの土産物もできたので、個人的には良しとする。
それにしても、イヴァリースの伝説に伝わる聖石を使った妖異じみたもの……ルカヴィまがいのものまで戦場に投入してくるとは思わなかった。
情報によれば完全なものではなく、欠片が使われているらしいとのことだが、何にしても脅威は脅威である。
事実”彼ら”の戦力はすさまじく、死者が出かねないほどの激戦であることがほとんど。
無論見えないところで死者は出ているのだろう。だが、それをいくらか食い止めることはできたかもしれない。
様子を見つつ、折を見て参加することにしよう。
何しろ、あらたなシャードが多数発見されるとのことだから、それも調べたいところだからだ。
◆星4月25日◆
そういえばゴールドソーサーで何やらイベントがあるという。
折を見て行ってみるのも悪くないだろう。水場があるからロスも安心だし。
とはいえあそこの景品で何かめぼしいものはあったろうか……
◆星4月26日◆
今日は今日でロスとのんびり過ごした。
随分久しぶりに惰眠をむさぼってしまった気がする。
急ぎの用事もなければ術式の完成も急いでいないとなれば、気が緩んでしまうものか。
それにしたって、それこそ下宿のころなどにはあまり想像もつかない過ごし方だ。
人は変わるという。私もそうなのだろうか。
既に一度、大きく”変わって”しまっているのに。
◆星4月27日◆
厳重に封印を施しているとはいえ、フランク・ミラー氏のエーテルは意思を持っている。いわば妖異に感染しているようなものだろう。
なので時々様子を見て、状況の観察もしている。
どうも、既に本人の意識はなく、かといって妖異としても不完全なようだ。
それがため、襲われることはなく、しかし……おそらく人々を守るという彼自身の想いによって、見た者の記憶から消え去ることで近づけないようにしていたのかもしれない。
もっとも、既に真相は闇の中。有効利用せよとのことだが……難しいものだ。
◆星4月28日◆
そういえば、そろそろ紅蓮祭の時期でもある。
庭をそれらしく飾るのも悪くないかもしれない。以前のイベントでもらった庭具もあるし。
暇をみつけてやっておこう……その前に、手持ちのものを確認しなければ。
◆星4月29日◆
商会特区でイベントをやる機会もあるかもしれないから、それ用にしようかと考える。
エーブリエタースを呼んで店番をさせるのもいい。……水風船あたりになるが。
本を並べるのもいいし、プールはロスのために必須だ。
ギルドから定められた敷地面積あたりの設置個数と相談して決めることにしよう。
◆星4月30日◆
エーブリエタースは気乗りがしない様子だったが、調温術式をかけた衣服を渡すと伝えたら承諾してくれた。
あと庭具はどうだったか……倉庫を調べてみよう。
◆星4月31日◆
使えそうな庭具の目星をつけ、清掃した。不足分は購入することにしよう。
涼し気な雰囲気にしたいところだ。今は炉がだしっぱなしなので少し暑苦しい。
あれを片付けて、風船屋台や風鈴屋台を置いて……来月に入ったら計画を進めよう。